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はるから日誌_19 はるからベスト2024

こんにちは。はるから店主です。
今年も残すところあと半月。皆さんは今年、どんな本に出合いましたか?

今日は、今年はるから書店でよくお買い上げいただいた本を集計してみました。私の感想もちょこっと交えながらご紹介させていただきます。

★集計は2023年12月~2024年11月。オンラインストアのほか、出張本屋やイベント出店で販売した数も含みます。



1位 『元気じゃないけど、悪くない』青山 ゆみこ

おそらくこの本でしょう…!と思っていたら、やっぱりそうでした。

これがあったから不調、これをやったから回復、なんて分かりやすい公式は無くて、タイトルの通り「元気じゃないけど、悪くない」と思えるまでの、青山さんのゆらぐ日々を綴ったエッセイ。

たぶん、ぐんぐん回復して元気になって、はい、おしまい、という筋書きだったら、こうも心は動かされなかったのでしょう。氷の張ったスケート場にそーっと片足を下ろして滑りだすようなエンディングに、「うん、私も」と思えた同士は多いはず。自分自身をよく観察し、ケアのトライ&エラーを重ねていくことの大切さも感じました。

オンラインで開催した読書会には青山さんご本人もご出席してくださり、本を読んで感じたことを出席者さんみんなでうなずき合いながら共有しました。とてもとてもいい時間でした。忘れません。


2位 『母の最終講義 』最相 葉月

作家業30周年ということで、これまでに書かれた短いエッセイを集めた一冊。ノンフィクション作家としての年月は、実はお母さまの介護を続けた30年でもあったとこの本で知り、とても驚きました。

新聞の人生相談でズバッと切れ味のよい回答をされる最相さんですが、このエッセイでは、迷い、答えを保留するような場面もいくつか出てきます。私にはそれがなんだか一つの許しのようにも感じられました。

最相さんは(そして私達は)いつだって結末前のノンフィクションを生きている。目の前の現実を聞よくき、どう言葉にしていくか。最相さんはずっとその作業を繰り返し、書き続けているのだと、改めて尊敬の想いです。


3位 『ポンコツ一家』 にしおか すみこ

「にしおかぁ〜すみこだよ」の、にしおかすみこさん。でも読んだら「すみちゃん」に変わってしまっいました。

すみちゃんは自分の家族のことを、愛を持って「ポンコツ一家」と紹介します。

いやがおうなく認知症の症状を次々と見せるお母さん。ふんわりと見つめるお姉さん。火に油を注ぐお父さん。でも全員、悪意はない。

にしおかさんの放つ正論が何処にも着地せずに一家の上を通り過ぎていくたび、がんばれー!とエールを送り、可笑しいやら切ないやら、軽妙に綴られる日常に笑ったり涙したり。

誰かが誰かのケアをしていると、その矢印は一方通行に思える日もあるけれど、てんでんばらばらなポンコツ一家の矢印は、本当はお互いのことを想っている。ケアする人を救うのは、案外ケアされる人の一言だったりする。

迷いながらも強く優しく一家を支える「すみちゃん」は、最高にかっこよくて、最高にチャーミングな人でした。

もちろん、2年目も人気です♪


そのほか

そのほか、よくお買い上げいただいた本はこちら!(五十音順)

かざらないひと 月と文社
今日の人生3 いつもの場所で 益田 ミリ
セルフケアの道具箱 伊藤 絵美
724の世界 2023 よしもと ばなな
ミモザ 107歳ピアニスト照子さんのストーリー 黒川由紀子

今年もたくさんの素敵な本に出会うことができました。小さな本屋で、まだまだ知っていただける機会も少ないですが、本を作ってくださった著者さんや出版社さんの想いを少しでもお届けできていればうれしいです。


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