「言いつけ」行動の見方を変える〜子どもの当事者意識を育てるために
先日、HoiClueオンライン講座で天野秀昭さんのお話を聞きました。
その中で「こどもが言いつけにくることは、大人のルールの中で生きている」という言葉があり、ドキッとしました。
「いいつけにくる」という表現が適切かわからないけれど、「◯◯くんがすわってないよ」「◯◯ちゃんがかたづけてない」とこどもたちが保育者にいってくることってありますよね。
思い返すと、そのほとんどのルールは大人が決めたもの。こどもたちがルールや約束事をきめたときには、この光景はあまりみられない・・・
「こどもが言いつけにくる」
あなたはこの行動をどう思いますか?
天野さんの言葉をきっかけに、こどもがいいつけにくることについて考えてみようと思います。
1. 子どもが言いつけにくる理由・原因
こどもがルールや約束事を守っていない友達のことを保育者に言いにくることの理由や原因をまず考えてみようと思います。
◯ 子どもが友達の行動に興味を持ち始めている
4歳ごろから周りの友達の行動に興味を持ち始める子がいます。その時に自分と違う行動が目につきやすいんだと思います。
◯ 善悪の判断を学ぶ段階である
3歳ごろから物事の善悪の判断を学んでいるように感じます。まだその判断は不安定で、状況に応じて判断することはまだまだ難しいですが、周り起きていることから、「これはいけないこと」と自分なりに考えることが増えているのだと思います。
◯ 安心感を求めている
自分が行動の基準にしていることを守られていないことに、不安感や不快感があるから、保育者に伝えることで安心したいと気持ちがあるのかなとも感じます。
僕自身はこんなふうに感じています。
ちなみに子どもが言いつけにくる行動を発達心理学の理論で説明するとこうなるそうです。
2. 天野さんの言葉の解釈の仕方
こどもの発達段階を考えると、
子どもが言いつけにくるということは、
完全に大人のルールに縛られて生きているというわけではないようです。
なので、僕は天野さんの言葉をこのように解釈しました。
子どもが言いつけにくるときには、大人のルールに縛られているかもしれないという視点で、
自分のこれまでの関わりやクラスの運営の仕方をふりかえってみよう
そして
こどもが当事者意識をもてるような関わりをかんがえよう
大人のルールに縛られているということは、
こどもが当事者意識持っていなかったり、主体性を発揮できていない状態だとおもいます。
これは僕がしたい保育ではない。
関わりを振り返るきっかけにしたい思います。
保育者経験があまりなかった頃に、約束事でこどもたちの行動をコントロールしようとしていたこともありました。でもとっても苦しいんです。楽しくないんです。
もうこんな保育をしたくないと思った過去があります。
こどもたちには、当事者意識もって、主体的に過ごしてほしいと強く思っています。
3. 子どもが当事者意識を持てるような関わり方
では、こどもが言いつけにきたときに、どう関わると、その子が当事者意識を持って、大人のルールだけに縛らている状態にならないか考えてみました。
• 気持ちの受け止め、共感する
まずは、言いつけにきたこの気持ちを受け止めます。困っている、怒っている、不安などの気持ちがその子にあると思います。
• 自分で解決できるように促す問いかけをする
「じゃあ、どうしたらいい?」と聞くことで、「自分で伝える」、「気にしない」、それとも「どうしたらいいかわからない」など解決に向けてその子自身ができることを考えるきっかけをつくっていきます。
• 子ども同士の対話の仲立ちをする
ルールを守らなかった子の言い分もあると思うので、そのことを聞いたり、自分の意見を伝える仲立ちをしたり、お互いの意見の整理をしたりします。
• ルールの意義や目的についての話し合い
どうしてそのルールや約束事を守らないといけないのか意義や目的を、当事者同士で考えたり、クラス全体に投げかけて話し合うことで、こどもたちの善悪の判断の学びにつなげていきたい。
4.「こどもがいいつけにくる」の捉え方
こどもが言いつけにくるという行動は、これまであまりいい印象も持っていなかったけど、こどもの発達を考えると重要な役割があることに気づきました。
そして、この行動に対して保育者が関わることで、こどもたちの当事者意識や主体性が育つ機会に変えていけるのではないかと感じました。