「生物」と「無生物」を考える。~ウイルスは生物か~
こんにちは。はるかなです。
理科を学ぶ意義についてのお話を終えたので、やっとですが、僭越ながら生物学講義を始めていきたいと思います。
今回は、「生物」ってなんなんだろう?「無生物」との違いは?
と言うことについて、お話ししていきたいと思います。
結論だけ見たい方は、今回のまとめまでとんでください。
生物の多様性と共通性
生物のことを考えるのであれば、やはり広い視野を持たなければなりません。
では、広く生物を見たときどのようなことがわかるのでしょうか?
・生物の多様性
文字通り、生物は多様です。
現在の地球には、名前のつけられている生物だけでも約190万種、未知のものを含めると数千万種もの生物がいるとされています。
昆虫、その他無脊椎動物、植物、維管束を持たない植物、真正菌類(キノコなど)、原生生物(単細胞生物など)、原核生物(バクテリアなど)、われわれ哺乳類を含めた脊椎動物…
こんなにもたくさんの生物が存在しているとは、不思議なものですね。
・生物の共通性
数千万種も存在するとされている生物ですが、これだけ多様でも多くの生物に共通する基本的特徴があることが明らかにされています
。
それが生物の共通性です。
では具体的にどのような共通する部分があるのか
①構成単位が細胞であること。
細菌類や菌類(キノコや酵母など。原核生物である細菌とは異なる)、植物や動物など、様々な生物を観察してみると、どの生物の身体も細胞からできていることがわかります。
身体を構成する最小単位が細胞である、ということです。
また、この細胞の基本的な構造も共通しているのです。
中学校や高校で動物細胞と植物細胞は構造が異なっていることや、原核細胞と真核細胞があることは習ったかと思いますが(今度の記事で解説いたします!)、詳細な構造は違っていても基本的構造は共通しています。
それは、
細胞膜に包まれていて、外界と区切られている
ということです。
細胞膜を持つ、という点はどの生物にも共通する構造ですね!
②生命活動にエネルギーを利用すること。
生物は、エネルギーを利用してさまざまな生命活動を行う、という共通点を持ちます。
例えば、植物は光エネルギーを用いて光合成を行って有機物をつくり、呼吸によりそれを分解してエネルギーを取り出し、このエネルギーを使って様々な生命活動を行います。
また、動物は他の生物を食べることによってエネルギーを得て、同様にしてそれを生命活動に利用します。
光合成をするのにも呼吸をするのにも、細胞内と細胞外とで物質のやりとりをするのにも、エネルギーが必要なのです!
(そのエネルギーの仲介をするのが、ATPという物質です。今後の記事にて詳しく解説いたします。)
③遺伝情報をDNAに保存すること。
生物の形質(身体の特徴、みたいな)は、遺伝情報が発現することによって決まります。
そして生物は皆、この遺伝情報を「塩基配列」という形で、DNAに保存しているのです。
よく、「DNAってなんなの?」という質問を受けることがあるのですが、DNAとは、「遺伝情報をになう本体のこと」です。
データを入れたパソコン本体、みたいなイメージです。
DNAについても、今後詳しく書いた記事を出しますね。
④生殖の仕組みを持つこと。
生物は皆、遺伝情報をDNAに保存している、と言いましたが、それを受け継ぐ仕組みを持つということも生物の共通する特徴です。
DNAは細胞分裂するときに複製され、次の細胞に情報が受け継がれます。
われわれは、有性生殖という方法をとるので生殖細胞に遺伝情報が受け継がれ、受精により子孫を残すことができます。
また、単細胞生物などは無性生殖という方法をとるので、分裂により自分と全く同じ遺伝子をもつ子孫を残すことができます。(分裂以外の方法もある)
上記の4つが主な共通する特徴としてあげられます。
この他にも
・体内環境の維持を行う仕組みを持つこと。
・刺激に対して反応すること。
・進化が成立すること。
などがあげられます。
なぜ多様性や共通性が生じるのか
生物の多様性と共通性が存在することはわかったけど、なんでそんなことが起こるの?
と思いますよね?
その理由は、「ダーウィンの進化論」で広く受け入れられています。
今日の多様な生物は皆、共通の祖先に由来している。
という考え方です。
共通の祖先から進化して多様な生物が生まれ、また共通の特徴が受け継がれたと考えられています。
「生物」の定義とは?
じゃあ生物の定義ってなに?
と思いますよね。
じつは、今現在でもその答えが決まっているわけではありません。
だって、人類なんて46億年の地球の歴史の中では新参者ですから。
そんなのおこがましいんです。
でも、広く受け入れられている「生物の定義」というものはあります。
それは、先ほど述べた生物の共通性より、
①構成単位が細胞であること。
②生命活動にエネルギーを利用すること。
③遺伝情報をDNAに保存すること。
④生殖の仕組みを持つこと。
であるとされています。
ウイルスは生物なのか?
では、そこで気になるのが、「ウイルスは生物なのか?」ということですよね。
昨今話題のウイルスですが、生物の定義から考えて生物なのか、非生物なのか。
結論からいうと、ウイルスは「非生物」であるとされています。
ウイルスの特徴は
①細胞構造を持たず、核酸(DNAやRNAのこと)がタンパク質の殻に包まれた構造を持つ。
②自分でエネルギーを得て利用することができない。(代謝の仕組みがない)
③自分で増えることができない。生殖の仕組みがない。(生物に寄生して増えるしかない)
④遺伝情報はRNAに保存される。
です。
地球上に存在する多くの生物には共通することが、ウイルスには共通しないので、「ウイルスは非生物である」と考えられます。
今回のまとめ
生物には多様性と共通性がある。
そして、生物の共通性から生物の定義は、
①構成単位が細胞であること。
②生命活動にエネルギーを利用すること。
③遺伝情報をDNAに保存すること。
④生殖の仕組みを持つこと。
であるとされている。
この、生物の定義とウイルスの特徴を照らし合わせると、ウイルスは定義上生物ではない、と考えられる。
今回はここまで。
最後のまとめだけ常体になってしまいましたね笑
ではまた!
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