台風と怒り

雨風が吹き荒れ、テレビのアナウンサーは「命を守るために・・」と言い続けている。スマホからけたたましい警報音が唐突に鳴り響く。そんな時でも、いやそんな時だからこそ、私は通常通りカウンセリングをしていた。オンラインならでは成せることだ。天候に影響され気分が沈むと話すクライエントさんと一緒にこの状況と気持ちを共有するときを大切にした。

嵐に紛れてやってきたもの

いつものことだが、インターンフォンと共にスマホの電源を切り、PCの前にスタンバイすれば、そこには内面の世界だけが存在する。嵐の中、いつもと何も変わらない室内で、精神世界により懸命に目を注ぐ。そこで自分の心の中に小さな嵐のようなものを見つけた。台風に関する不安・恐怖のに紛れて、近頃囚われがちなある怒りや憎しみが奥底で渦巻いているようだった。懐中電灯を買い損ねたことに後悔した。もし停電して、ロウソク1本で夜を過ごさなければならなくなったら、薄暗い部屋の中に心の中にあるその小さな憎しみの嵐が滲み出て来そうな気がしたからだ。

同じような気持ちにいる誰かと

言葉にならない不安や緊張を覚えたり、むしろハイになったりしている人はいないだろうか。独特の孤独感に見舞われている人はいないだろうか。当てどころのない苛立ちになぜか付き纏われている人はいないだろうか。皆さんと共有するように、私も読んだ方も少し心が楽になるnoteを書きたいと思った。台風が過ぎ去った後でも読んでもらいたい、落ち着きをなくさせる怒りとの付き合い方について綴ってみた。

怒りとの付き合い方

「怒りのピークは6秒」と言われる。人はその6秒のうちに過ちを犯してしまうのだ。アンガーコントロールの話になるとその6秒をどうやり過ごすかという話になる。でも、ここでは台風の騒動に紛れて滲み出て来そうな怒りや憎しみとの付き合い方について話したい。

怒りの正体をめぐって

まずは正体がわからなければ付き合いようがない。何に向けた怒りなんだろうか。誰かだろうか、状況だろうか、関係性だろうか。そしてもっと深く掘ってみると、その何に、どこに、怒りを生じさせられているのか探してみよう。そこで正体を突き止めることが煩わしく他責でいたい気持ちが溢れてきたら、一旦手放したらいいかもしれない。自分を許して、一旦書き出したり口に出したりして黒い言葉を吐き出したらいい。そうしてまた少しずつ距離を縮めて行けばいい。それでさえ難しいのは、実は怒りのもとは不安だからだ。不当だと思う・失礼だと思う・理不尽だと思うのは、自分にとっての大切な何かが脅かされるように感じるからだ。それを守りたいという防衛本能が怒りのエネルギーと表現できるかもしれない。何に怒りを抱いていて、どんな不安があるのか、自分に目を向けて正体がわかると慈しめるかもしれない。

怒りを生じさせるものと自分の関係性

誰かや何かが実際脅かそうとしているかどうか、それは知りようがないことがほとんどだが、もしかしたらその相手も自分の何かを守ろうとしているのかもしれない。そして、相手の持つ感情を自分に押し付けられているのかもしれない。自分が感じていることは相手が感じていることなのかもしれない。同じ土俵に立つと抜け出せなくなる。距離をとって、相手について、攻撃ではない純粋な目を見つめよう。

怒り感情と向き合うならゆっくり丁寧に

それができたら、少なくとも嵐は弱まっているはず。
怒りを押さえ込んだり認めないようにすることは、自己否定だ。大事なのは、丁寧に目を向けることで、結局は自分を慈しむこと。怒りの正体が見つかってもう少し付き合いやすいやつに見え方が変わることが大切なのだ。

自分とあなたへのnote

台風に乗じてやってきた憎しみとの付き合い方を、人に読んでいただける文章にまとめることで、私自身ケアになった。この共有を通して、誰かの小さな手助けになっているといいなと願う。


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