469.ディープフェイク時代に必要な情報リテラシーと対策法
ディープフェイク技術は、近年急速に進化し、映像や音声を巧妙に作り替えることで、現実と見分けがつかないコンテンツを作成できる技術である。
岸田首相のディープフェイク動画が物議を醸してしばらく経つ。
他にも細かい話だと、多くの有名人もターゲットになっているかもしれない。
この技術は、エンターテインメントや教育分野で活用される一方、フェイクニュースや詐欺、個人攻撃など、悪意を持って利用されるケースも増えている。そのため、現代において「情報リテラシー」を身につけ、インターネット上の情報を正確に見極める力がますます重要になっている。
1. ディープフェイクの危険性
ディープフェイクとは、AIを活用して画像や映像、音声を生成・操作する技術であり、偽造コンテンツを非常にリアルに作成できる点が特徴である。特に有名な例として、政治家や有名人の偽映像を用いて誤情報を拡散し、世論を混乱させる事件がある。ディープフェイクが悪用されると、視覚や聴覚で信じてしまいやすい情報が広まり、個人や社会に重大な影響を与える恐れがある。
さらに、ディープフェイクは詐欺や脅迫の手段としても使われることがある。たとえば、個人の顔を使った偽映像を作成し、脅迫や金銭を要求する目的で利用されるケースが報告されている。こうしたリスクを踏まえ、個人でもディープフェイクを見破るためのスキルを身に付ける必要がある。
2. 情報リテラシーの重要性
ディープフェイクが拡大する現代では、「情報リテラシー」の重要性がますます高まっている。情報リテラシーとは、メディアやインターネットを通じて得た情報の信憑性を判断し、適切に選び取る能力である。
特に、情報の出所がどこであるのか、誰が発信しているのかを確認することが、ディープフェイク対策の上で最も重要である。信頼性のある情報源からの発信か、発信者が専門家や公的機関であるかを見極めることが、誤情報に惑わされない第一歩である。
以下のポイントは、情報リテラシーを強化するために役立つものである。
情報源を確認する
情報がどこから発信されているかを確認することが、最も基本的で重要なステップである。ソーシャルメディアや非公式なサイトから得た情報には、しばしば誤情報が含まれている。信頼できるニュースメディアや専門的な情報源を重視し、情報の出どころに注意を払うことが必要である。
発信者の信頼性をチェックする
情報の発信者が誰であるか、どのような意図で情報を提供しているのかも重要である。著名な専門家や信頼性のある機関からの情報であれば、誤情報の可能性は低くなる。また、情報を発信している人物や組織の背景を調べ、信頼に足るかどうかを判断することも有効である。
複数の情報源で確認する
一つの情報が真実であれば、複数の信頼できる情報源が同じ事実を報じていることが多い。逆に、他の情報源で確認できない場合、その情報が真実であるかどうかを疑う必要がある。同じテーマを扱う他のメディアや専門家の見解を確認し、情報の一貫性を確かめることが重要である。
コンテンツの異常を見つける
ディープフェイクの映像や音声は非常に巧妙に作られているが、不自然な動きや影の不一致、音声と唇の動きのずれなど、異常を見つけることで偽情報を見抜ける場合がある。コンテンツが本物らしく見えても、詳細を注意深く観察し、違和感を感じたら再確認する習慣を持つべきである。
信頼の置ける人から情報を取る
直接会って信頼の置ける人の話を聞くことは非常に信頼性に長ける。直接自分で会って聞いた話すら怪しくて信じられないような人は、ネットの情報に延々と左右されて情報リテラシーどころの話ではなくなる。ディープフェイクとは若干話がずれるかもしれないが、この点も情報リテラシーを身につけていくうえで大切なポイントである。
3. 対策と心構え
ディープフェイクに騙されないためには、日常的に以下の対策と心構えを持つことが重要である。
批判的な視点を持つ
情報を無批判に受け入れるのではなく、その背後にある意図や目的を常に考慮することが必要である。特に感情を揺さぶる情報には、フェイクニュースや誤情報が含まれている可能性が高い。冷静な目で情報を評価し、信頼性を判断する習慣をつけることが重要である。
疑わしい情報は拡散しない
特に驚きを感じさせる内容や感情的な情報は、一度立ち止まってその真偽を確認すべきである。すぐにシェアせず、情報の出所や信憑性を確認することで、フェイク情報の拡散を防ぐことができる。
最新情報に対して学び続ける
ディープフェイク技術は日々進化しているため、常に最新の情報や技術を学び続けることが求められる。新たな脅威や対策方法に対応するために、自分自身の知識をアップデートし続けることが、情報リテラシーを強化する上で不可欠である。
まとめ
ディープフェイクがもたらす情報の信頼性に関する課題はますます深刻化している。しかし、情報リテラシーを高め、信頼性のある情報源を重視し、批判的な視点で情報を評価することで、偽情報に惑わされずに正確な情報を手に入れることができる。現代社会において、信頼できる情報を選び取る力は、ディープフェイクやフェイクニュースの時代において必須のスキルである。
もっとも、ディープフェイクの技術の話だけに限らない。情報を取るという意味ではインターネットが登場した時点から始まっている。2ch、SNS、一昔前から情報の正誤は読み取る人に委ねられてきている。
そもそも正しい、正しくないすらその境界線が曖昧な時代になっているのかもしれない。
正しい情報というよりは、自身に意味のある、効果的な選択に有益な情報を取るような力を身につけていくことが必須となってくるだろう。