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プロローグ4-5(シャギの野望)-サイレント・ネオ-boy meets girl-

「まさに閣下のおっしゃる通りです。ムドー様を加えられたシャギ様は、まさに鬼に金棒でござる」
「マーバイム、口には気を付けい。このような優しい男をつかまえて、鬼とは。余は鬼ではないぞ、鬼ではないぞ!」
と言うと、3人そろって大笑いした。

「ところで、マーバイム…」

シャギは突然真面目な顔になり、立ち上がるとバルコニーの手するにてをついて、外を眺めながらいった。

「これからのカイバはどう進むべきであるかの?」

シャギの問いに、参謀マーバイムは本来の仕事とばかりに、はきはきと話し始めた。

「我がカイバ、すでに北閥とは同盟関係にありまする。そのおかげでムドー殿をおかりすることもでき申した。
現在、兵馬は意気盛ん、仕官によってパイロットも充実しております。
かくなる上はさらなる都市を手に入れるため、準備するのがよろしいかと思いまする」
「さすがはマーバイム、余の思うところ、しかとわかっておる。して、どこに攻めるが良いかの?」
「まずは、カイバの南東にある小都市リムリを狙うが自然かと思いまする。
リムリは兵弱く、士気も乏しいとのこと。さらにキングダムの属国に不満を抱く勢力が、独立派を形成しているとか。内部分裂をうながし、一気に切り取るが上策かと…」
「ふむ、それもおもしろい。されど、リムリなどいつでも取ろうと思えば、取れるであろう」
「というと…閣下はどこを狙ってなさるのでしょうか?」

すると、シャギは満月が丁度頂上にきている夜空をあおいだ。強い風がふきつける。

「マーバイムよ、今宵のような風強き日は、砂漠では砂嵐が吹き荒れておるのであろうな…
砂嵐を思い出すたびに顔の傷がうずき、左腕が鈍い音を立てる…ああ、にくい、にくい。
我が顔をずたずたに刻んだ男の顔、余は決して忘れはせぬ。
その男は顔を奪うだけではあきたらず、余の左腕も切り落とした! 今こそ復讐のときぞ!」

常に仮面をしているため仮面騎士と呼ばれるシャギ。その仮面の下を知る者は今ではほとんどいなかった。

「閣下、いかがなされましたか!?」

マーバイムだけでなく、めったに動揺しないムドーも、シャギの豹変ぶりにたじろいぎ酒をあおぐ手を止めた。

「マーバイム、辺境都市ララじゃ! 辺境都市ララこそ、砂漠の民の永遠の憧れ。余はこの手で支配してみせる!」

つづく…

プロローグ:4-1 4-2 4-3 

4-4

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