ムサシVS暴走テディ・D 9-サイレント・ネオ-boy meets girl-
この夏、電子書籍化予定
居場所をつきとめたテディ・Dは空から降りてくるサイレント・ネオにサークルで攻撃をしかけた。しかし、ネオは巧みにバーニアで攻撃をかわし、かわりに抜いたレーザーサーベルをお見舞いした。
「６,７,８，９…」
さらに着地すると目の前にいたサークルが至近距離からレーザーを発射したが、頭部をかたむけて、紙一重でかわし、「そして、10個目だ！」と叫んでビーム―ライフルでそのサークルを撃ち抜いた。
9
するとどうだろう……ムサシの読み通り、残りのサークルの動きは緩慢で、せいぜいその場にとどまってビームを放つぐらいの動きしか見せない。
「ここだ！」
ムサシは操縦かんを目いっぱい引いて一気にモノアイの実験機に突進した。慌てたテディ・Dは実験機の前にサークルを集めて白い壁を作る。
「いけえぇぇぇ・・・」
しかし、勢いに乗るネオはその壁を左肩でつきくずして、猛進を続けた。そして……
強行突破したネオの前に、グロテスクな実験機が姿を現した。
ムサシはネオに右手で固く握った拳をつくらせると、実験機の頭部をしたたかにストレートパンチでなぐりつけたのだ。
すると、怒りのように真紅に燃えていたモノアイの灯が消えさり、背中がオープンして空に浮かぶサークルがその中に戻っていった。
実験機の頭部はしばらく電子束がうなりをあげていたが、やがてそれもおさまり、完全に動きを停止して、弱々しく地面に着地した。
「大丈夫か、オジャム、サシャ？」
ムサシが呼びかけると、オジャムがオープンチャンネルから返事をした。
「な、なんとか大丈夫だよ。サシャも無事だよ」
しかし、操縦席に座るテディ・Dは気を失っている。
「でも、テディ・Dが…」
その後、ムサシが実験機のコクピットにのぼると、気を失ったテディ・Dを抱きあげて地上につれていった。
「こんな若い女がこの化け物を扱っていたのか…」
死闘をまじえたテディ・Ｄを、ムサシは複雑な思いで見ていた。
「もしこいつが成長して完璧にサークルをあやつれるようになったら、俺でも……」
そして、紛れもない超感覚の持ち主であるテディ・Ｄが、パイロットとはにつかわしくないことにもとまどっていた。
地球ではスーパーエースと称えられるムサシをおいつめた凄腕のパイロットは、美しい金髪、体はきゃしゃで、無邪気な寝顔をする少女で、本当にこのグロテスクな実験機をあやつっていたのかと驚きを隠せなかった。
もう空は白み始めている。とんでもない夜になってしまった。
あまりに色々なことが起きすぎて、誰もが言葉数少なだった。
オジャムは疲れ切っているし、サシャは半分眠ってしまい、しきりにめをかいている。気を失ったテディ・Dはムサシの腕の中で目を覚ますことがなかった。
サイレント・ネオ-boy meets girl-（ムサシＶＳ暴走テディ・Ｄ・先行配信中）
BGM
-登場人物-
テディ・D：ゴスロリの格好をし、腕には9.8と数字をほり自死がんぼうがある少女。
オジャム：お飾りの提督をしていたが、父親をころされたあげく、砂漠に追放された。命からがら助かり、ゴサクの家で豚小屋などを掃除して糧を得ている。心優しい少年。
サシャ：誘拐船でオジャムと出会った6歳の女の子。勘が鋭く、ゴサクに気に入られている。その正体は…！？
ムサシ：地球（テラ）・ネオ東京出身の19歳の青年。愛機サイレント・ネオをあやつり、第5次地球・コロニー戦争において100機落としを達成、スーパーエースに認定された。しかし、戦う意味を見失い、月歌に放浪の旅に出る。
ソック：ムーンキングダム・斥候隊副隊長。ボーナスをなくしてしまい、恐妻トド子に家を追い出された悲しき中年男性。
シャギ：極悪非道の仮面騎士と呼ばれる男。若いころは、義侠を持ち黄金のシャギと呼ばれていた。青年時代に地元の若者たちと悪党を結成、砂漠地帯で暴れまわったが、ゲンバ提督の娘に手を出したことで怒りをかってしまう。顔を切り刻まれ、腕と足を切り落とされたあげく、投獄された。しかし、復活後は人が代ったように残酷になり、シャギ党を結成して、ついにはカイバの提督の座を強奪するに至った。
ムドー：月歌だけでなく、コロニー連合などで十数年の間、傭兵として戦場をわたりあるいてきた猛将。残酷な攻撃をすることもあるが、騎士道と義理を尊ぶ武人。シュトライツァー党では義兄弟のシュトライツァーの副将として活躍、北国随一の武将とまで呼ばれるにいたった。ダークブルーのパンツァーを愛機としており、精鋭の青備え５０機を率いる。
マギー教授（おねえ）とみなみちゃん（アイドル）：一年前に地球（テラ）から月歌に向けて出発したが、未だに到着せず。
かつてスーパーエースだったマギーは戦闘での怪我のため、現役を引退して士官学校で教授をしている。裏の顔はおねえである。
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