講座:くらしの中の地学/プレパラート
プレパラートを作りたいという私たちにK先生は難色を示した。
大学の高価な機械を市民に触らせるのはいかがなものか。資材は高価だ。それは受講料では賄えない(先生の研究費に食い込んでいたのかも?今にしたら本当に申し訳ない)。もし、万一壊しでもしたら、受講生だって無傷では済まない。
だけど、次の年の「公開講座」では機械を開放してくれた。いえ、ほぼ博士課程の方たちが作ってくださったのかも?
私たちは作るのがほんとうに楽しく(偏光顕微鏡下の私の鉱物たちときたら!なんて美しい)、お土産にプレパラートを持って帰る感じ(我が家に偏光顕微鏡はないが)の、冷静に考えたら大変申し訳ない企画だったのだが、私たちは喜んだ。岩石がプレパラートとセットだと気づかせてもらってたから。
※タイトル画像で方解石か花崗岩の偏光顕微鏡写真を探したが、noteのフォトギャラリーにはなかった。上の写真は岩塩だそうだ。提供いただきありがとうございます。なんてキレイなの。別世界みたいだ※
仲間の先生もすごく喜んだ。
廉価(公開講座の受講料のみ)でプレパラートが手に入る。しかも、地元の岩石、出所もはっきりしている。生徒に見せたい。くらしの中の、あの石くれが七色に光るのだ!
休み時間さえ、岩石片を磨いていた。私たちはすぐ音を上げていたのに。 同じ受講生も驚いたが、サポートの学生たちはもっと驚いた。
学生の一人はプレパラートを作るのはいやな仕事と思っていた、と述懐した。磨きすぎるとガラスを磨く結果になって、先生の目が光る。貴重な資材。論文締め切りになると徹夜で磨くのだ、ガラスまで磨いてしまっても仕方なかろう?だけど失敗は失敗。もう一度作り直し。岩石を割るところからやる。他校では専門職がいて、岩石を提出すればプレパラートにしてくれるというのに。
それを小中高の先生方は偏光顕微鏡で光り方を見ながら磨きに磨く。
誰かに頼んだら思い通りの仕上がりにならない。
島の岩石の標本、一枚でも多く作らせてもらえないか、とまで講師に頼み込んでいる。うまくいったら感激する。失敗してガラスまで磨いていたと知ったら本当にがっかりする。そうしてもう一度、一から磨きだす。
それを見て、私たちはもっと感激した。地学って楽しい!