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ミシンと煙管に、古い時代を感じるー私がお店を開いたら、並べたいもの(アンティーク編vol.1)ー

古い道具

 自分のお店を開くことができたら、こんなものを扱いたい。それが、このシンガーミシンと煙管である。

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 2つとも、アンティークショップが点在する地域にて、同じ日に購入した。

シンガーミシン

 このミシンとの出会いは、あるアンティークショップでのことだ。

 そのお店を見つけたのは、本当に偶然だった。

 元々は、他のアンティークショップに行こうとしていたのだ。けれど、その途中で偶然、「アンティーク」という看板を見つけた。

 惹かれるがまま入って見ると、客は自分1人で、ご夫婦と思われる2人がいらっしゃった。

 その場だけ時の流れが止まったようだった。自分はゆっくりとお店の中を見て回った。

 多くのアンティークショップには、そんな風に、時が止まったような空気が流れている。

 そして、無理に話しかけられないのも、好きなところだ。

 注意を向けられていないわけではないけれど、付かず離れずのちょうど良い距離感があるお店が多い気がする。

 さて、シンガーミシンについて話は戻る。

 それは、壁際の床に置かれていた。目線を下に向けて、自分は初めてそれに気づいた。

 そのミシンを目にした瞬間、「自分はこれを買う」「今ここで買わないと後悔する」と感じた。

 このフィーリングがあるから、楽しくて、アンティークショップ巡りはやめられない。

 同じようなシンガーミシンは、計2つ並んでいた。1つは、写真のもの。つまり、自分が購入したもの。もうひとつは、それよりもやや柄と文字が薄くなったもの。

 値段を見ると、後者の方が(コンディションにより)やや安価だった。

 けれど、きちんと金色の柄と文字が見える方が好みだったので、自分は前者を選んだ。

 そのミシンを持ち上げてレジに運ぼうとしたけれど、覚悟していたよりもかなり重くて、それを断念。

 レジにいらしたお店の方に声をかけて、購入の意思を示した。すると、重いので、駐車場に停めた車まで運んでくれるという。

 とても有難かった。

 自宅の部屋に運ぶのも大変だったけれど、このミシンは実際には使えないけれど、インテリアとして飾るのにとても良かった。

 黒い背景に金色の柄と文字。
 高級感があって、部屋に落ち着きを与えてくれる。

 裁縫部屋を作って。これを置いて。

 そんな想像が膨らんだ。

煙管

 こちらの煙管は、シンガーミシン購入後、また別のアンティークショップ出会ったものである。

 そのお店は、アンティークショップというよりも、古道具屋と呼んだ方が、雰囲気にはあっていたかもしれない。

 日本の古いものを扱うお店のようで、店先まで物が雑多に溢れていた。

 そのお店のような、雑多な雰囲気が好きだ。まるで宝探しをしているかのよう。

 子どもの気持ちになって、自分だけの宝物を探すのだ。

 さて、そのお店に入り、ぐるぐると店内を巡った。

 煙管がたくさん売られていることは、最初の方で気づいた。欲しいなぁ、と漠然と思った。

 店内を一巡りし、やはり自分の気持ちは、最初の方に見かけて煙管のところへ戻っていった。

 自分は愛煙家ではない。一度も吸ったことはない。恐らく、これから先も吸わないだろう。

 けれど、インテリアとして、煙管の見た目が好きだった。

 なぜだろう? それはやはり、どことなくノスタルジーを感じるからだろう。

 数ある煙管の中から、大小、長さ、様々だったけれど、とことん吟味して、最も自分が気に入ったものを選んだ。

 その様子を見ていた、同伴してくれた自分の家族は、「すごい真剣な様子だった」と後に言っていた。

 それはそうだ。自分はいつだって、真剣なのである。

 自分はいつだって、自分だけの宝物を探しているのだ。

古い時代を感じる

 自分が上記のミシンと煙管に惹かれたのは、やはり、そこに古い時代の懐かしさを感じたからだろうと思う。たとえ、その時代を実際に経験していなくとも。

 例えば、ミシン。

 昔の人(この場合は女の人か)が、家庭で、もしくは仕事場で、ミシンを使って、衣服を縫った。

 それが一家の主婦であったら、家族を思い、子どもの成長を思い、ミシンを使ったのだろう。

 ミシンを使うことが得意で楽しかったかもしれないし、苦手で苦痛だったかもしれない。

 仕事で使ったのなら、嫌々だったかもしれないし、好きで楽しかったかもしれないし、お給料のために頑張っていたのかもしれない。

 そんな生活を想像する。

 自分の知識不足で、その想像は間違っているかもしれないけれど。

 間違いを知ったら訂正しつつ、想像は膨らんでゆく。

 煙管も、昔の人(この場合は男女ともにあり得るか)が、娯楽のために、社交のために、これを使って吸ったのだろう。

 1日の終わりに一服したのか、暇を持て余してのことなのか。

 そんな光景を想像する。


 ここまで、古い時代の雰囲気が好きと書いてきた。

 けれど、もちろん、古い時代が総じて良い、今の時代より良い、とは、思っていない。

 古い時代にも、今の時代にも、良い所と悪い所があるのだろう。一概に比べられるものではないのだろう。

 例えば、家庭でミシンを使うことが少なくなり、主婦はその時間を別のことに使えるようになった。そのことにだって、一長一短はあるのだから。

 それでも、古い時代を感じる懐かしさは、日常生活の忙しなさの中で、一歩、自分を立ち止まらせてくれる。

 自分にとっては、それが有難い。

 立ち止まり、まるで新鮮な空気を吸い込むかのように、古い時代の雰囲気を味わう。

 それは、自分がその時代を経験していないからこそなのかも知らない。

 懐かしさを感じると同時に、経験したことのない新鮮さが、自分の中に流れ込んでくるのだろう。

 だから、自分は古いものが好きなのかもしれない。

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