私のカメラ歴-カメラは子どもとの距離を写して残す-
どういうわけだか夏になると新しいカメラが、レンズが欲しくなる。
カメラへの物欲は、子どもと自分の距離が変化してきた時期に湧いてくる。
8月は子どもたちの成長に想いを馳せてしまう時期だ。わが子2人はどちらも8月生まれだから。
子どもの成長と共に、私のカメラ欲はむくむくと膨らむ。使うカメラの大きさ(価格も…)だって成長していく。
単純に、子どもの手が離れてきたからだと思う。荷物が減って、カメラを大事に抱えることが可能になったのだ。
iphone5だけで撮った赤ちゃん時代
長男と次男は2歳差。
長男が生まれてから次男が体重10キロに育つまでの3年半ほど、ずっと抱っこ紐を腰に巻いて外出していた。
2人分のオムツ、お尻拭き、着替え、水分、おやつ…ひたすら大荷物。毎日が小旅行並みの荷物で、一眼カメラなんて待つ余裕はない。
可愛い可愛い赤ちゃん時代を撮っていたカメラはiphone5だった。片手でさくっと撮って、遠くに住む実母と祖母に送る、ただの記録写真。
コンデジ時代
長男が1歳になった夏、コンパクトデジタルカメラを購入する。
歩くようになって、卒乳して、たぶん心と荷物に余裕ができたんだろう。3万円くらいのcanonのpowershotで、わりと良いスペックのコンデジだったはず。
よちよちと歩き始めた長男と、あちこちの公園に出かけては写真を撮った。写りがiPhoneとまるで違って、とても喜んだのを覚えている。「産毛まで見える!!」と感動して夫に自慢した。
(公園で靴下で歩く練習をしていたころ)
この頃から、たくさん撮った写真でフォトブックを作るようになった。
ところがコンデジ時代は一旦幕を下ろす。
第二次iphone5時代
次男が生まれ、第二次大荷物時代が始まった。
2人分の荷物はひたすら多くて重くて、コンデジすら持てなくなった。心の余裕もなく、私の欲望といえば「寝たい」「1人になりたい」こればっかり。
それでも、毎日iPhoneで写真も動画も撮っていた。実家の母が写真と動画を催促するから。
めんどくさいなぁ…と思いながら撮っていた、雑な写真たち。ピントも構図もF値もシャッタースピードも、何も知らない頃の写真は、ほんとに雑。
だけど今見返すと実に良い写真ばかりで、泣けてくる。必死に過ごしていた当時の生活を思い出して、愛おしいような泣きたいような気持ちが湧いてくる。
ちっちゃい頃の子ども達はもちろん可愛いんだけど、頑張ってた新米ママの私が、可愛い。よく頑張ってたねえーって抱きしめたくなるのだ。
再びコンデジ時代
次男が1歳になり、卒乳して歩き始めると、再びコンデジ時代が到来。
2人分の荷物はまだ巨大だったけれど、抱っこ紐から解放される時間が増えた。
秋から春へ向けた半年間、仕事復帰へのカウントダウン。今しか密に過ごせる時間はない!と焦ってひたすら出かけてコンデジで写真を撮った。まだ、ただの記録写真。
そのうち育休は終わり、2人が保育園に入り、自分は仕事に復帰する時期がやってきた。保育園で行事があると、良いカメラが欲しくなる。ありがちなパターンだ。
周りのパパママがゴツい一眼カメラの望遠レンズでシャッターを切っていると、ついつい見ちゃう。自分のコンデジでは、アップで撮れない。(良いカメラがほしい…)と欲望が湧いてくる。
はじめてのミラーレス一眼
2018年の冬、ついに憧れのミラーレス一眼を購入。CanonのEOSkissM。
だけど全く知識が無かったので、カメラ選びは見た目と雰囲気で。コンデジがcanonなので操作が似ていて使いやすいだろう…という安直な理由で無難にダブルズームキットを購入した。
自分の持つ物では、車を除けば過去最高の金額だったので、本当に手が震えたのを覚えている。最初は怖々と触っていた。
しばらく楽しく使っていると、色んな欲望が湧いてくる。
もっと背景をボカしたい!前ボケも後ろボケも欲しい!と単焦点レンズを購入。
(憧れの玉ボケに感動した)
ただ画角とか焦点距離とかよく分かってなくて、比較的価格の低い50mmf1.8という、子どもを家の中で撮るには近すぎるレンズを買ってしまった。
このレンズが私を沼にはめた。
そしてカメラ沼にはまる
色味を調節したい!とLightroom を使い始めてからは、もう抜け出せないカメラ沼にずぶずぶに浸かっていた。
図書館で毎週何冊もカメラ関連の本を借りては構図やシャッタースピードについて読みあさり、過去の無知な自分を恥じた。赤ちゃん時代の写真の雑さを後悔して、あの頃に戻ってちゃんと撮影したい!と泣けた。
悔やんでも、子どもは大きくなるばかり。
毎月1cm近く背が伸びる坊や達に、焦った。
長男は小学生になり、子どもたちとの距離はますます離れていく。公園なんて、一人で遊びに行ってしまうから、ウォーリーを探せ!のごとく必死に姿を探す。手は繋いでくれないことが増えた。抱っこ紐、ベビーカーは埃をかぶっている。
汗だくで山猿のように大型遊具で遊ぶ子どもたちを、私は涼しい木陰のベンチから眺める。「ああ、こんな日が訪れるとは夢にも思わなかったなあ」としみじみ感じる。
そして焦る。
もっと良いカメラで、しっかり今の姿を残して置かなくちゃ!いつまで撮らせてくれるか分からない。子どもの写真撮影のカウントダウンは始まっている…!
焦る気持ちで理由をつけて、新しいカメラとレンズをこの夏も買ってしまった。
中古だけれど、しっかり探して、やっと見つけた新しい相棒。かっこいい。ピアノみたいな黒に惚れ惚れする。
中望遠レンズも購入したから、ちょっと遠くからでも表情を狙える。ずっしり重くて頼もしい。
子どもの荷物は減ったけど、代わりに自分の大事な荷物が増えた。
ハロー、FUJIFILM。
これからよろしく。
(次男も一人でずんずん遊びに行くようになった)
これからも、たくさん写真を撮ろう。