アニー
鑑賞時の感想ツイートはこちら。
1982年のアメリカ映画。トニー賞を受賞したブロードウェイのロングラン作品を元に、映画化されたミュージカル作品です。赤毛の孤児の女の子「アニー」が歌う "Tomorrow" は、ミュージカルのスタンダード・ナンバーとして今も歌い継がれています。原題 "Annie"。
出演は、「アニー」役にアイリーン・クイン、大富豪「ウォーバックス」役に『ビッグ・フィッシュ』、『エリン・ブロコビッチ』のアルバート・フィニー、孤児院の院長「ハンニガン」役にキャロル・バーネット、ハンニガンの弟「ルースター」役に『ロッキー・ホラー・ショー』、『レッド・オクトーバーを追え!』のティム・カリー。
監督は『マルタの鷹』のジョン・ヒューストン。
ブロードウェイ・ミュージカルを映画化
本作は、1977年から(なんと、40年以上!)続いているブロードウェイのミュージカル作品『アニー』を1982年に映画化したもの。ブロードウェイの舞台は、初演の1977年にトニー賞を多数受賞しています。(ミュージカル作品賞、ミュージカル脚本賞、作曲賞、ミュージカル主演女優賞……など、全7部門)
○ トニー賞とは
舞台作品(演劇およびミュージカル)に贈られる賞。映画のアカデミー賞、音楽のグラミー賞、テレビのエミー賞、報道・文学・音楽のピューリッツァー賞と並び、アメリカで最も権威ある賞として知られています。
“百聞は一見に如かず” ということで、まずはこちらの動画をどうぞ♩
トニー賞で、ミュージカル・リバイバル作品賞に『アニー』がノミネートされた 2013年の動画。授賞式でのパフォーマンスです。(残念ながら、受賞はならず)
孤児院の女の子たちが「ここの人生はキビしいわ」と歌う "Hard Knock Life"、鬼院長のミス・ハニガン(映画での表記は「ハンニガン」)が「どっちを向いても女の子ばかり。もうウンザリ」と歌う "Little Girls" の2曲をメドレーで披露しています。
あらっ♩ この時(ブロードウェイ再演時/2012年)のミス・ハニガンは、わたしの大好きな海外ドラマ『glee/グリー』の「スー」こと、ジェーン・リンチではないですか~!
『glee/グリー』の舞台となるマッキンリー高校で、チア部の鬼コーチとして登場する「スー・シルベスター」。コミカルな悪役ぶりで、最高のヴィランだと思います! めっちゃ笑えます!♡
そのジェーン・リンチが『アニー』のミス・ハニガン役! なんという適役! ぴったり過ぎる~♩ ぜひ観てみたかったなぁ。
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あのー、ところで、わたし、先程の動画を観ていて気づいちゃったんですけれども…… この作品、もしかして…… いえ、もしかしなくても……
映画版より舞台版の方が絶対面白いのでは……??(小声)笑
なんというか、歌唱にしても、ダンスにしても、舞台の方が “熱量が高い” というか、迫力とクオリティが上回っている気がします。
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ミュージカルの本場、ブロードウェイ(ニューヨーク)やウエスト・エンド(ロンドン)のみならず、日本でも1978年から公演が行われており、1986年以降は毎年上演される演目として定着しています。
こちらは、今年(2021年)の公演のサイト。
東京公演は新国立劇場でやるんですね~。
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余談になりますが、新国立劇場がある初台の「東京オペラシティ」は、わたしのお気に入りスポットのひとつです♩
ぶらぶら、お散歩してみたり――
コンサートに行ったり――
バレエを観に行ったりしています。
またお散歩しに行きたいなぁ。
映像版『アニー』いろいろ
さてさて、話題を『アニー』に戻しまして――。
息の長い定番作品だけあって、本作をはじめとして、これまでに3回映画化されています。(1982年、1999年、2014年)
○『アニー』(1982年版)
最初の映画化作品。舞台版と同じ「1930年代のニューヨーク」という設定。
○『アニー』(1999年版)
ディズニーによりテレビ映画としてリメイクされた作品。ミス・ハニガン役は、キャシー・ベイツ。
○『ANNIE/アニー』(2014年版)
ウィル・スミス&ジェイ・Z 製作(プロデューサー)の映画化作品。ミス・ハニガン役に、キャメロン・ディアス。「現代のニューヨーク」という設定。
※上記3作品のほかに、1982年版の続編として製作されたテレビ映画『アニー2』(1995年)があるとのこと。(キャストは別物)
わたしが観たのは、最初に映画化された1982年版『アニー』のみ。ほかの1999年版はディズニー、2014年版はアフリカ系アメリカ人(黒人)のアニーで設定も現代風―― ということで、それぞれに特色がありそう。
ちょっと興味が湧きますね♩ 機会があれば、観てみるのも良いかも。
ミス・ハニガンの品の無さ!笑
1982年版の本作について、わたしが個人的に挙げたい見どころを、ひとつご紹介します。
それは――
登場人物のひとり「ミス・ハニガン」の品の無さ!笑
主人公の女の子アニーが暮らす、ニューヨークの孤児院。そこの雇われ施設長が「ミス・ハニガン」(Miss Hannigan)。(本作字幕では「ハンニガン」と表記)
先述のジェーン・リンチ(ブロードウェイ再演版/2012年)、キャシー・ベイツ(ディズニー版/1999年)、キャメロン・ディアス(現代版/2014年)――といった顔ぶれを見てもおわかり頂けるかと思いますが、「ミス・ハニガン」は本作において重要な役どころ。
どの作品でも、このキャラクターには実力のある女優さんを据えており、本作ではコメディエンヌのキャロル・バーネットが演じています。
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最近の彼女は、Netflixオリジナルのトークショー番組『キャロルの小さなアドバイス』でホスト役を務めていますね。
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『アニー』に登場するミス・ハニガンは “飲んだくれ” で、ほぼ常時、お酒が入っている状態。千鳥足でふらつきながら、軍隊のように孤児の女の子たちをこき使い、掃除や皿洗いなどをさせています。
もちろん、孤児の女の子たちは口答えなど許されず、
"Yes, Miss Hannigan." (はい、ハニガンさん)
"We love you, Miss Hannigan." (ハニガンさん、愛してるわ)
と斉唱するようにしつけられています。
施設へ出入りする大人に対しては、クリーニング業者であろうが、迷子を送り届けてきた警官であろうが、孤児を引き取りたいと現れた大富豪であろうが、男性と見れば見境なく、あからさまに色仕掛け――。笑
他作品の歴代キャストと比べても、本作のミス・ハニガンはダントツに品が無い!(ちょっとやり過ぎでは?……と思うほど。苦笑)
場末の娼婦のようなどぎつい化粧、じゃらじゃらと身につけている安っぽいアクセサリーなど、メイクや衣装の感じも、このキャラクターの “品性の無さ” をとても良く表現しています。
ハンニガンさん、品がなさ過ぎ……笑。
と、感想ツイートにも書きましたが、歴代作の中でも抜きん出て “品の無い” ミス・ハニガンは、ちょっとした見どころ。
終盤まで観るとわかるのですが、“強欲” で “浅はか” なだけであって、人間としてはそんなに極悪人でもないんですけどね。
ミス・ハニガン(キャロル・バーネット/写真右)と、弟のルースター(ティム・カリー/写真左)。
まっすぐ「きれいごと」を伝える、ということ。
ところで、わたしは、本作を観た時の感想ツイートに
子どもと一緒に観るのにぴったりな、明るく楽しいミュージカル映画。
と書きました。
孤児院の女の子たちがミス・ハニガンにこき使われたり、アニーがチンケな小悪人のティム・カリー(ハニガンの弟役)に追いかけられたりはしますが、基本、怖いシーンや観ていてつらいシーンは、本作にはありません。
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わんこの「サンディ」は、お利口でとっても可愛いし♩――
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大富豪ウォーバックスさんに招待されたアニーが、お屋敷で出会うインド系の使用人「プンジャブ」。彼が登場するいくつかのシーンも、子どもたちが観たら楽しいはず♩
本物のインド系の方がご覧になると、ヨガ由来とおぼしき “不思議な力” をプンジャブが使う……など、インドの描写がステレオタイプ過ぎて、『007は二度死ぬ』でトンデモ日本描写を観た時の日本人のように(笑)複雑な気持ちになるかもしれませんが……。
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ウォーバックスさんのお屋敷で、沢山の使用人たちがアニーのために豪華な服、寝具、プールやテニスコートを用意してくれるシーンは、大人のわたしが観ていてもワクワクします♡
(ほんと、ウォーバックスさんちの子どもになりたい!笑)
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こちらは、映画版オリジナル(たぶん)の楽曲 "Let's Go To The Movies"。
「暗い客席に座って 夢の世界にひたるのよ」
「映画へようこそ スターが待ってます
夢の世界へ さあ どうぞ
ドアの向こうは別世界」
「さあ 映画を見よう 映画スターを見よう
世の中は “不況” というけど
映画は不安を吹っとばす」
このシーンに、製作陣のメッセージが凝縮されているのではないかしら―― なんて思います。
わたし自身も、映画が大好きで、映画の世界に救われたり、勇気づけられたり、心洗われたり…… たくさんたくさん、してきました。わたしのような映画好きにとっては、胸が “じぃーん” と熱くなる、素敵なシーンです♩
ちなみに、このシーンでアニーたちが(貸し切りで!)映画を観に行く劇場は、マンハッタンに実在する「ラジオシティ・ミュージックホール」という設定。
ここは、実際にトニー賞の授賞式が行われるホールなのです。粋ですね!
そして、上演される映画は『椿姫』(1936年)!
"Let's Go To The Movies" の歌詞の中にも登場している、グレタ・ガルボとロバート・テイラー主演です。
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世の中にはいろいろな映画があって、つらい面やネガティブな面、すなわち現実のリアルな “影” の部分をしっかり描こうとする作品もあれば、現実離れしていようとも、あえて “光” の面だけを描いている作品もあります。
本作は、後者に含まれる作品でしょう。
たとえ「そんなの、現実では有り得ない」、「幻想」、「きれいごと」と言われることがあったとしても、まっすぐ「きれいごと」を伝える作品って、わたしは必要だと思うのです。
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こちらの図は、下の記事の中でディズニー作品について書いた時のもの。「美しいもの」を表現するためには、ただ “頭の中がお花畑” なだけでは出来ないよ―― という考察をしています。
さらに前のこちらの記事でも、「きれいごと」を映画で描くことの大切さについて、ちょこっと書いています。
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締めくくりに、2014年版の映画『ANNIE/アニー』より、本作の代表曲 "Tomorrow" を♩
希望にあふれた素敵な歌詞も味わっていただきたいので、日本語字幕のあるものをチョイスしました。
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おまけ♩
本作の1シーンより、ウォーバックスさんの名言。笑
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