ここで変わらなければ、一生変われない

”人に感情を見せない”自分は、辛いこともある反面、自我を保つ上では便利な鎧でもあった。

しかしこれは、18年間同じ土地で過ごしてきたからこそ許された行為でもあった。高校卒業後は大学進学することが決まり、地元を初めて離れることになった。初めての場所でイチからスタートを切ることは今までの人生ではない経験だった。

自分のことを全く知らない場所へ行くことへの期待感がある一方で、このままの自分でいていいのだろうかという疑念も生まれた。今まで一緒に過ごした同級生たちにこれ以上自分を壊されないようにという防衛からポーカーフェイスの自分を作り上げたが、もうその同級生たちとは離れる。この人格が便利だったのはこの地元で生きていくからこそだった。

鎧をまとった自分が新天地で通用するのか?そもそも人間関係が18年間ほぼ変わらないことが珍しく、本来は一定の時期に出会いや別れがあるものなのではないか。だとすれば、本来の自分を受け入れてくれる可能性が地元にいるよりも広がっていくのではないか。そんな期待感が込み上げてきた。

そして高校を卒業し大学へ進学した私は、ここで自分を変えるという意気込みにあふれていた。

4年間で失ったコミュニケーションスキルを取り戻すには想像以上に大変だった。

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