吾輩は
猫である。じゃなくて、ただいまお名前探求中である。お仕事をする上での「〇〇の大森です」の〇〇に入る名前を探している。
ちょっと前までは「十色庵の大森」だった。その前は「時間堂の大森」で、さらにその前は「フリーの制作の大森」だった。今、どれも使うことにためらいがあって困っている。先月お引越しをして、名刺を新調しようと思ってぶち当たった壁だ。
私が経営している法人は「合同会社時間堂」という。これは2016年に解散した劇団「時間堂」の運営会社として名付けたものだ。劇団は解散しても社名は変えずに続けてきた。法人名を変えると手続きもたくさん発生するし、そもそもお金がかかる。こないだ本社住所が変わったので定款を書き換えたのだけど、管轄が変わったこともあって6万円もかかってしまった。たった1行、書き換えただけなのに。ほかにも様々な行政機関、銀行、公共料金等々すべての住所変更で、登記簿謄本やら郵送代やら交通費やらこまごました出費も重なった。この会社名で契約しているものはほかにも多々あるし、基本、商号は変えずに活動したいと思っている。
とはいえ、解散した劇団の名前を使い続けるのは弊害もある。20年近くあった名称なので劇団してのイメージが浸透しているし、そもそも私は時間堂には最後の4年半くらいしかいなかった。解散したんじゃなかったっけ?という混乱も招きかねない。「時間堂」で検索すると劇団のサイトが出てきて「解散しました」って書いてあって、じゃーこのおおもりさんてひとは結局何者なんだという疑念を持たれる懸念もある。そこで、個人事業主でいうところの屋号というか、通称というか、ブランド名みたいなものを名乗る、という方法で問題を回避してきた。それが「スタジオの名前を通称として用いる」=「十色庵の大森さん」だったわけである。
ところがどっこい。スタジオを畳んでしまいましたとさ。
さぁ困った。契約書や請求書などのやりとりを考えると、名刺に商号「合同会社時間堂」は入れておきたい。しかし、通称なしの商号だけにしてしまうと、「時間堂の大森」問題が再燃する。とはいえ、今まで便利に使ってきた「十色庵」という名称は「スタジオ」の名前として認知されていて、これを使い続けるのもなんだかごにょごにょする。ごにょごにょ。
てなわけで、目下、名前を探している。名前をつける、というのは、自分のやりたいこと、目指してるもの、大切にしていることなどなどアイデンティティ再構築、みたいな時間になると思っている。幸か不幸かしばらく名刺交換の機会はめっきり減ると思われるので、緊急事態宣言が緩やかになって晴れて外界へ解き放たれるときがきたら、新しい名刺で新しい私になって新しいひとと出会いたいものである。
もう出会ってるひとにも、新しい私で晴れやかに再会できますように。