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消灯後

 温泉旅館で電気を消してさあ寝るぞという時に、文章が書きたくなった。こんなに情緒のある時間に寝てしまうなんてもったいない。夜中だけどそんなの構わない。明日は早く起きて温泉に入るけど、それでもこの気持ちを残しておきたいのだ。

 旅行で楽しいのってこういう時間だ。ワクワクするようなイベントや日程も楽しいけど、集合してスーパーで買い出ししている時間だったり、今日の日程が全部終わって部屋で駄弁っている時間だったり、消灯して寝息を立てている人とまだ起きていて静かに携帯を触っている人とが混在している時間だったり、そういう時間が尊いのだ。もちろん全ての時間が尊いのだけど、こういう名前のつかない時間もとっても尊いのだ。きっと早起きして静かに障子を開けて窓から景色を見たり、または全く起きられなくて友達に起こしてもらったりする時間も尊いだろうな。今日が終わるのが惜しいけど、そろそろ目を瞑らなきゃ。気心の知れた友達との旅行で安心しきっている私はもう手足が重たくなっている。

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