壁に傷をつける

なんの変哲のない平坦で綺麗な壁ほど恐ろしいと感じる。

例えば自分の部屋がシンプルな箱のように、まっさらな平面で囲まれたものだとすると結構嫌だなぁと。
作業とかする時は何もない空間の方が良いのですが、自分が暮らす空間となるとどうも寂しい感じがする。

多分、そういう空間で暮らすことになったら、その何もない壁にシールを貼ったり、傷をつけたりしだすのではないかと思う。
まるで動物の縄張りを示すように「痕跡」を作っていくと思う。

この痕跡は他の人に縄張りを示すものではなく、自分の空間であることを自分が認知するためである。
用意された何も無いものから、自分の手を加えることで自分の空間と認知できるように、自分の空間を作っていく。

むしろシンプルの良さというのは、このように人が手を加えられる余地を残し、それが自分の創作物のようになるという面もあるんじゃないかと思います。