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『溺れるナイフ』

観るのは2回目。
おもしろいからとかじゃない、ただ心を打たれる何かがある。

すごく儚くて美しかった。残酷だった。
中高生の時は無敵で、後先考えず何でもできた。
自由で、全力でその瞬間を生きてた。

なんでもできる、何にでもなれる。

そして経験する挫折。
あの時負った傷や絶望はずっと忘れない。
いつまでも記憶にも心にも残る。

その挫折や失敗から自分の可能性を測るようになる。
あぁこんなもんか、やっぱり無理か、自分にはできないだろう。
いくら前向きに生きていたとしても、絶対にこういう面はある。
思わない方がおかしい。

『溺れるナイフ』はハッピーエンドなんだろうか。
でも、あの二人は一緒にいない方がいいと思った。
記憶と心でつながっていて、相手のおかげで頑張れる、もっともっと高みを目指せる。
一緒にいることを選んでお互いの可能性を狭めてしまうなら離れていた方がいい。

なつめちゃんとこうちゃんのお互いを見る瞳がすごく好きだ。
妬みと愛しさと憎悪と切望。そんな複雑な感情が入り混じったものを感じた。
彼らは、「今この瞬間」を楽しんでいた。

二人は大人になることを拒んだのかもしれない。
わたしたちは、無敵の子どもから制限された大人になっていく。

いつまでも自由で無敵でいようとした二人は綺麗だった。
どの瞬間を切り取っても美しかった。


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