映画「だれかの木琴」感想
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先日、「だれかの木琴」を配信で観ました!
出演:常盤貴子さん、池松壮亮さん、
佐津川愛美さん、勝村政信さん
監督・脚本・編集:東 陽一さん
あらすじ・役柄などは公式サイトをご参照ください。
事前情報をほとんど入れずに視聴しました。
(原作の小説も読んでいません。いつか読んでみたい…)
事前に知っていたことは、
常盤貴子さん演じる主人公が美容師と出会い、
ストーカーをしていく話ということだけ。
そのため、他にどなたが出演されているのかも、
役柄も関係性も知らず最初理解できなかったところも。
以下、ネタバレを含め感想を綴っていこうと思います。
⚠︎語彙力文章力等ありません。誤字脱字・間違えなどがありましたら申し訳ありません。
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消防車のサイレンの音とともに、後ろ姿→声→横顔の順に登場した主人公、親海小夜子。登場シーンから不穏な感じだな〜面白くなりそうだな〜と思った。
1. サスペンス?
だけど、公式サイトにサスペンスと書かれていたわりにサスペンス感なかったかな。見ながら結構「やばい」「怖い」「嫌な予感」を連呼していたけれど、そのわりに大したことは起きなかった印象。
主人公の主婦が美容師と出会い、ストーカーをしていくのだが、確かにやってることはひどいんだけど、映画なんだしせっかくだからもっと狂っていって欲しかったかなぁと思った。(でもこれはこれで良かったと思う。)美容師が「わかってくれないと昔みたいにまた暴れたくなるよ」と短剣を出したシーン...結局暴れなかったし。放火犯も結局最初から怪しさMAXの特に本編には絡んでこない男の人だったし。でもこの放火犯の登場により、担当した美容師から「あの人さ、ただ女の手で(髪を)触って欲しかっただけだよ」という言葉が。
これは小夜子とも重なる?と。
まあサスペンスには、「ある状況に対して不安や緊張を抱いた不安定な心理、またそのような心理状態が続く様を描いた作品」(Wikipedia)という意味があるみたいだから、当てはまってはいるのかな。
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2. 親海夫妻(主に夫)の謎
夫なの?
親海夫妻の最初のシーン。「こんにちはー。奥さん、お邪魔します」と言って家の中へ入ってきた男性、彼が夫だとしばらくわからなかった。コーヒーを飲むかと聞く時もそのあとの会話でもお互い敬語で話していたし…。
妻のことどう思ってるの?
警備会社に務めているとはいえ警備を強固にしていたり、妻が熱を出した時におかゆを作ってあげたりと……序盤は家族想いのいい夫という印象が比較的強かった。髪を切ってきた時もすぐに気がついていて、妻のことをよく見ているのかなと。
しかし、光太郎は、職場の部下の女性に食事に行かないか?と誘ったり(他の子も誘っていいですか?と返されていたが。)、部下たちと別れた光太郎が歓楽街で女優帽を被った女性に「ねぇ、どっか行こうよ!飲み屋とかホテルとか」と声をかけられホテルに入ったり……と、矛盾している?と思った。
その他「だれかの木琴」の謎。その1。専業主婦であるはずの親海小夜子が美容師と名刺交換(クラス会のために作ったらしい)。そのまま名前の話になり、二人とも海がつく…!と思ったが、特にその後の展開には関係なかった。"運命" とかそういう意味合いなのかな?
その2。小夜子の夫・光太郎。妻を愛しているんだか愛していないんだかさっぱりだし、随所に謎な言動あり。
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3. この映画が描きたかったものとは?
私はこの映画が描きたかったものは、人間の多面性や誰にでも知らない別の姿があるということかなと思った。娘のかんなから、遅く帰ってきたことを問い詰められたときに発した小夜子のこの言葉。「私はかんなの母親ですけどね、母親だけで生きているわけじゃないのよ」 小夜子はかんなの母親であり、光太郎の夫であり…… 実家へ帰れば娘であり、クラス会へ行けばクラスメイトであり……と、相手や場が違えば自分の立場や役割が変わる。(知らない姿とはまた少し違うかもだけど。)
この小夜子の言葉からふと思い出した。私が以前読んだ本に、死を迎えるとき母親や妻としてではなく一人の人間として死にたいと望む人もいると、死ぬ間際に「お母さん」ではなく名前で呼ばれたいのだと書かれていたことを。(タイトルは思い出せませんが……終末期医療や老後に関する本だったと思います)
また、小夜子はとにかく寂しかったのだと思う。孤独感が強く誰かに相手にしてもらいたかったのかもしれない。親海一家は引っ越してきたばかり。でも、夫は職場で、娘は学校で、それぞれ新たな知り合いができていく。小夜子は専業主婦だから、なかなか新たに誰かと親しくなるのは難しいのかもしれない。だから、気さくに雑談をしてくれる美容師に惹かれていったのかも…
小夜子の孤独感が描かれていたのかなと思ったシーンがいくつかあった。小夜子が、娘のかんなにマフィンを「あっためてあげようか?」と尋ねたら、「いい、このまま食べるから」と返されていたところ。授業参観?のあと、帰り際に見かけた娘のかんなに手を振ったらスルーされていたところ。
また、劇中で小夜子は何度も嘘をついている。
【小夜子がついた嘘(一部)】
・メールで写真を送りたい理由
本当の理由は、美容師の山田海斗に送りたい
だが、夫と娘には、おばあちゃんにこの家の写真を
まだ見せてないから、おじさんのスマホに送ると。
・いちごを届けた場所
実際は山田海斗の自宅。
だが、夫には美容院に届けたと説明。
これは夫から、うちの冷蔵庫にはいちごがなかった
のにと怪しまれていた。
その他、多面性が描かれていたと思われる人物。
光太郎が会社の仲間と飲み行き、帰り際に部下たちに「じゃあ今度うちにメシ食いに来いよ。結構うまいの作るよー、うちのかみさん」と話した数分後に、女優帽を被った謎の女と合流。そのままホテルへ。
この部下たちも「いや、ちょっとこいつと」って光太郎の誘いを断り、光太郎が遠ざかっていくのを確認すると、もう一人の人(さらに部下の人?)にマスクを外せと強要。マスク外したあと上司は笑ってるように見えたし、部下は怯えているように見えた。光太郎と話してたときは「ありがとうございます。ぜひ伺います」と敬語を用いて丁寧に応対していたが、その部下の前では命令口調になり、語気も荒くなっていた。この二人にも何かあるなと。
誰しもいろんな一面があって、それは他者には全然わからなかったりする、ということを描きたかったのかな。
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おわりに
本作は、サスペンスとしては物足りなさも感じるが、
ヒューマンドラマとしては面白い作品だと思いました。
素敵な劇伴奏や、とにかくお美しい常盤貴子さん、
役者さんたちの演技を堪能するためだけでも、
2周目も完走する価値は十分にありました!♡
主要人物にも物語にも謎が多く、不思議で私には
理解できなかったところも多々ありますが、
もう少し大人になった時にまた本作を見てみたら、
新たな気づきとかありそうだなと思いました。
そして、時間ができたら原作も読んでみたいです!
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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