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かごめのことをもっと知りたかった。彼女がどんなことを考え、生きていたのか。これからの未…
かごめのことを、佳奈はほんとうによく知らなかった。大人しく、存在感が希薄で、いてもいな…
第四話 後ろの正面、だあれ? ……目が醒めたら空気があんまりにもひんやりしていて…
幾人もの学生とすれ違いながら、目的地を目指す。文芸部の部室は奥まったところにあるため、…
第三話 夜明けの晩に、鶴と亀が出会った 毎年秋に行われる芸術祭が先週終わり、そこ…
「あれ、櫻田。文芸部に入ったのか」 小教室で黙々と互いの執筆に勤しんでいた時分、挨拶も…
第二話 籠の中の鳥は、いついつ、出遣る? 演劇部顧問の夏目の、いつも眉間に皺が寄っているような顔を見ていると、この人はなにが楽しくて生きているのだろう、という気持ちに、櫻田茉莉花はさせられる。こんな気持ちを抱く自分が悪いのではない、抱かせるあの先生が悪いのだ、という言い訳も遅れて浮かんでくる。 (厳しい指導が嫌なわけではない。厳しくするのにも方法があると思う。あの先生は文句ばっかりつけて、私たちの自由をきっと奪っている) それから、頬のたるみが際立つから、似合わな
佐々井が不意に部室に現れたあの日から、彼は毎日姿を見せるようになった。とはいえ、最初か…
第一話 かごめ、かごめ 綾音は春を迎えた。今度一学年進級する、ということは、この…