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2、本当に欲しいもの〜Yちゃんのお話

※実話のため、プライバシー保護の観点から
少しフェイクを織り交ぜています。

ある授業の中でお絵描きをする日がありました。
Yちゃんは珍しくお母様の膝から降りて
自分で椅子に座って描いていました。
時々お母様を振り返っては
「これは〜よ。こっちは〜なの。」と描いているものを
指さして話していました。
お母様にも褒めてもらって、それまで見せたことのない
笑顔でとても楽しそうでした。
使う色も明るく、筆圧もしっかりしていて
絵を描くのが好きなんだなと、私は思いました。
帰る時に「Yちゃんはお絵描きが上手だから
帰りに新しいクレヨンを買いましょうね。」
とお母様に言われて、いつも言う「抱っこ〜」を言うのを
忘れるくらい嬉しかったのか、お母様の手を引っ張って
「行こう行こう!」と教室を出て帰って行きました。

ある日の授業後のことでした。
Yちゃんは「ママ、今日もデパートに行こう」
と腕にぶら下がるようにして甘えながら言いました。
お母様は優しく「そうね、行こうね。」と
答えられていましたが、Yちゃんがお友達と
遊んでいる間に、私にこう言われました。

「いつも教室の帰りに買い物に行くんですけど
必ずクレヨンを買ってって言うんです。
毎回買うんですけど、どうしてそんなにクレヨンが
欲しいんでしょうか?」
私はびっくりして思わず聞き返しました。
「毎回、買ってあげてるんですか?」

「ええ、買います。普段寂しい思いをさせて
すごく我慢もさせてると思うんです。だから
あの子が望むことは叶えてやりたいと思って。
でも、買って帰っても使わないんです。
お店でも買う前には一応、
『まだ使ってない新しいクレヨンがあるよ。』
って言うんですけど、どうしても欲しいって言うから
また買うんです。
クレヨンのパッケージが違ったら、目移りして
別のものが欲しくなるのかなと思うんですが
同じクレヨンなんです。
かれこれ、同じものがもう4箱あるんです。
買うのはいいんですけど、どうして使わないのに
クレヨンを欲しがるのかわからなくて。」

私はお家での様子を聞いてみることにしました。
「そうなんですね。
お家に帰ったらYちゃんは買ったクレヨンは使わずに
別の遊びをするんですか?」

3、に続きます



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