人間椅子という「異形」が好きだ
純粋な「大好き」という気持ちを貫き続けた結果は、往々にして「異形」なものとなる。
ーーー大学に入学して間もない4月のある日のこと。サークルの新入生歓迎ブースで、僕は「人間椅子のコピバンやらない?」と誘われていた。
当時の僕は上京したばかりで、頭のてっぺんから足の先まで芋っぽい、いや、もはや芋そのものと言っても差し支えないほどの田舎者だった。西友に並ぶ里芋の方がよっぽど都会的である。
この田舎者、好きなものには熱く真っ直ぐな性格だが、残念なことに、とにかく了見が狭かった。