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ふたご座流星群が見える日
12月14日(日)AM0:00
「流星群見てる?そういえば去年はみんなで見てたよね」
大学で仲良くなった友達からLINEが送られてきた。
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一年前、向暑はるたちは旅行で箱根に訪れていた。
その日も今日と似ていて、雲ひとつない空だったと思う。
テレビなど各メディアでふたご座流星群が見頃だと伝えられていて、みんなで見ようと話していた。
時計の針は深夜0時を周り、全員がいい感じにほろ酔いになった頃、The大学生が泊まるようなやっすいホテルのバルコニーに足を運んだ。
外の空気は冷たく乾いた風が吹いていて、上着を着ないと凍え死ぬような寒さだった。
バルコニーに出てから30分ほど経っても、流星群の流という文字さえ見当たらないほど、空は小さな粒たちが同じ場所に輝いているだけだった。
寒いから中に入ろうとみんなが思った時、小さな光が放物線を描きながら、向暑はるたちが見ていた星空の画角を通り過ぎていった。
あの時、みんなが口を揃えて「見えた」と発したあの幸せな瞬間を向暑はるは、毎年この日に思い出すのだろう思った。
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そして今日、そんなことを思い出しながらふたご座流星群を探していた。
一年経って、住んでいる場所はそれぞれ変わってしまったが、それ以外は何も変わっていないと思った。
全く別の場所に住んでいても、同じものを眺めている。
心は近くにある気がした。
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小さな光が、目の前を通り過ぎた。
彼らも見ていただろうか。