あれは、幽体離脱だったのか?
それは、小学六年生の春。
寝室で寝ていた私が体験した話。
うっすらと夜が明けていった明け方に、私はそっと目を開けた。いつもと何ら変わらないハズの朝に、私は少しの不思議を感じていた。
…浮いている…?
夢か現実か、その狭間か。どの時間か確定しないけど、私の体が浮いていた。
擬音で表すなら、フワフワよりもプカプカに近い。
プカプカと、私は浮いてゆっくり時計の針の様に動いていた。
景色は、完全に寝ている寝室で、寝室にある家具もそのままで私はその場所で寝ていた位置より少しだけ高い場所に浮いていた。
なんだ、これ?
意識は、あったけどその状態がなんだかよくわからないから、とりあえずまた目を閉じた。
次に目を開けた時は、浮いていない普段の私の体だった。
私は、ずっと浮いていた体の事を考えていた。
考えていると、もしもあのままどっかに飛んで行ったら楽しかったんじゃない?とか楽観的に考えたりもした。
でも、やっぱり不思議で不思議でふと友達にその体験を話してみると
「それって幽体離脱じゃない?」
と、言われた。
幽体離脱!?
それって、体と魂が離れるアレ!?アレなのか!?
浮いている時、私はひっくり返って魂の抜けていたかもしれない自分の寝ている姿を確認はしていない。寝ていたそのままの姿で浮いていた。もしも、アレが幽体離脱で、呑気にどっかに飛んで行ったりしてたら、そのまま死んでた!?
少しの恐怖を感じたものの私は、今も生きている。
あの時の体験が幽体離脱だったのか確かめる方法もない。だから…
真相は、きっと明けていった朝日の中に溶けたと言う事にしよう。
…怖いから。