男女の優位性
まえがき
『男の方が女より優れてるのに同一性など必要ない』
こういった意見を持つ方々は何時の時代も一定数いる。
表立って言えば世間から冷ややかな目で見られるであろうことから、実際に耳にする機会は多くない。
しかし90年代以降、インターネットという現実とは隔絶された社会に多くの人が触れる機会が増えてからは、顔を突き合わせての意見交換ではないからか、心の内に秘めていたであろう男性優位の意見が溢れるようになった。
意見を持つのは個人の自由であるので、もちろんそれを避難することは私には出来ないし、そういった考えがあっても別に良いとは思う。
一つの意見だけに集約されてしまった世の中というのは、エコーチェンバーによって意見の先鋭化が起こり反対意見があっても潰されてしまうからだ。
だがしかし『男性が優位だからその分負担が大きい』という意見だけは反対を唱えたい。
何故なら非常に勿体ない考えだからです。
もっと肯定的にポジティブに考えればいいのにと、今日はそんな話。
あなたが優秀だから
もう最初から言っちゃいます。
『男性が優位だからその分負担が大きい』のではなく『あなたが優秀だから負担が大きい』んです。
優秀な人は当然ながら不出来な人よりも何もかもが捗ります。
それは仕事であったり勉強であったり、人間関係もそうです。努力の量の違いもありますが当然のように優劣はつきます。
そして優秀な人と不出来な人に同じ量だけ業務を振っても優秀な人は当然不出来な人よりも作業は早く終えられます。
であれば、もっと仕事をしてもらいたい。と思うのは世の常。
その結果優秀な人は不出来な人よりも負担が大きくなってしまっているわけです。
優劣差に男女の差異はありますが、男性同士女性同士でも差異は生まれます。
であれば「女性だから仕事が少なくて楽」と考えるより「俺が優秀だからそのぶんアイツは楽できてる」と考える方が素敵だと思います。
こういった考えはいわゆる『自己犠牲』を示しています。
自己犠牲の精神
各地の宗教では上述したような考えを根源としているものも多くあります。
また宗教を下地とした説話や物語も多くありますので一部紹介します。
キリスト教 ヨハネの福音書
みんな大好き（？）ヨハネの福音書では献身の精神についてこう書いてありました。
ヨハネによる福音書 15章13節
友のために自分の命を捨てること、これ以上に大きな愛はない
まさに自己犠牲の心。
キリスト教が盛んな地域では、日本でいうところ倫理で「他人に親切にしなさい」と教わるそうです。
日本だと「他人に迷惑をかけない」と教わりますが、似てますが厳密に考えると全然違いますね。
仏教 自利行と利他行
自利行は自分自身に得になる行いで、利他行は他人が得になる行いを指します。
仏教の最終目的は輪廻からの解放を求めますが、そのために必要なことは自身を高めるための修行と”他人への献身”が必要です。
また仏教だけだと大まかすぎますが、仏教の中でも特に日本に馴染みのある『法華経』でも”不惜身命”と心得、修行のために身を削るのを惜しまないとしています。
キリスト教だと遠い感じがしますが、法華経だと馴染み深いですよね。
宗教を下地とした考え
上記の宗教を下地とし、他者への献身の心得としてるものですが、今思いつくだけですが書いておきます。
ノブレス・オブリージュ
「noblesse（貴族）」と「obliger（義務を負わせる）」
キリスト教の献身の心を土台とした欧州貴族の考え方ですが、現代でも息づいており現地炊き出しや寄付など様々な場面で見られます。
「人より多くを持つものは、持たざる者に対して分け与えること」という考え方になりますが、富の再分配と考えると現代日本でも理に適っているのかなとも。
中国北宋 曾鞏
臣聞く、基厚き者は勢い崇く、力大なる者は任重しと
（基礎がしっかりとしたものは勢いがあり、また力を持つ者は責任も重い）
スパイダーマンでお馴染みのやつですね。
「大いなる力を持つ者は大いなる責任が伴う」
力の振るう先を見極めろ、という意味だけでなく「力を持ってない人に対しての責任もあるのよ」と考えられます。
持ってない人への責任、つまりはそのぶん仕事しろよってなるのかな。
あとがき
力を持つ者からすれば、持たざる者は異性でも同性でもどっちでもいいと思うんです。
その力を持ってない人に分け与えるゆとりを持ってほしい。
日本人に馴染みあるでいえばアンパンマンもそうですよね。
アンパンマンの初期版では今のアンパンマンではなく普通のオジサンでしたが、お腹を空かした人のところへ行き自分も裕福でないのに自分はまだ動けるからとパンを分け与えていました。
究極の正義とはひもじいものに食べ物を与えることである
とやなせたかし先生も言っていますし、優秀な貴方が男女差での負担を嘆くことはしないで「優秀な自分だから負担大きいのはしゃあないか」くらいにかるーく考えてくれたら、もう少し世界は平和になります。