第八話 羿と弓 前編
「師匠」
僕がそう呼び掛けると師匠は怪訝な顔で「どしたー?」と振り返る。
「今回も”弓”使わなかったデスね」
僕はそう言うと師匠が左肩に担ぐ弓、『虹の弓』に視線を向ける。
虹の弓の出番ないまま終わっちゃいそうデスけど・・・
と言いたげな僕の視線に気づいたのか師匠は自身の髪をわしゃわしゃと撫でるように頭をかく。
「気付いてしまったか・・・」
「いやいやこれ毎回思ってますし、何度か言ってますよね!?」
師匠は「うーん」と何かを考えるように唸ると視線を遠くに薄っすらと陰る山に向けた