神話の世界
なんて大層なタイトルをつけたが神様が神話の世界を飛び交い、壮大で絢爛豪華な神と人との話を書くわけではない。期待してる人いたら申し訳ない。
ここでは私が思う神話の世界と描かれ方、そして後世の人の広がり方について思うところがあり書いて行ければと思っている。
神話とは何か
『神話』と一口に言ってもそれぞれの地域の神話ごとに違った特色があるが、一言で言えば『その地域で伝えられたお話』である。
本当は「人々がこうだったらいいなと思って作った創作のお話です」と言いたいお話も中にはありますが、すべてが完全な創作とは言えない神話も数多くあり、また「全部本当にあった出来事なんだ!」と一部過激派の方もいらっしゃるので断定することはできない。
誰かタイムマシンを作ってくれればその検証は出来るのですが、現状では引き出しの中からドラえもんがやってくることを期待するしかない。
神話は実話か創作か
前段と矛盾するかもしれないが私の中では『ある意味実話』と考えている。
もっと細かく言えば『実話をもとにしたエピソード』となっているのではないかと思う。
ひとつ例を出そう。
ヤマタノオロチ退治
日本の神話のなかで有名なエピソードの一つに『ヤマタノオロチ』がある。
原文はこうだ
原文
読めん。漢文。レ点が欲しい。
私も辞書引っ張りながらでないと理解できない。
拙筆で恐縮だが一般的に伝わっている話に合わせ訳すと以下となる。
現代語訳
とこんな感じのお話。
「櫛になったクシナダはそのままなん!?」とか「爺さん婆さんの二人だけで門と酒樽用意させんのエグいな!」とか「生贄は可哀想だと同情して、なら俺の嫁になれは自己評価高すぎだな!」などツッコミどころは数多くある。
このツッコミどころがある、つまり”現実的ではない点”がまさに『実話をもとにしたエピソード』を誇大に表現したことで生まれたギャップなのではないかと思うわけである。
さて上記のヤマタノオロチ退治後、出雲に住み着いたスサノオの息子(だったり遠めの子孫だったりする)オオクニヌシは出雲の地で勾玉貿易で富を成したという話がある。
出雲の国は現在の島根県であり海沿いだ。
海沿いのため海上貿易はやはり盛んなのだろう。
文化として先を言ってた大陸側とも交易を行っていそうだ。
これを踏まえたうえで、きっと現実はこうだったんじゃないかというのを記そう。
はる意訳
ってなところが現実的なヤマタノオロチ退治ではないだろうか。
上記のリアル寄りな話は無論私の創作ではあるが、こういったように様々な神話は基にした実際の出来事を神秘性を持たせ大きく盛って作られた話であると私は考える。
神話の派生
そもそもが人から人へ伝わった口伝であることが多いため、その過程において変遷したり、時代を経て改変されたりすることがとかく多いのも神話の特徴である。
実在の出来事ではなく「こうだったらもっと面白い」を繰り返した結果であり、好意的に受け止めるべきであると考える。
*現代で言えば二次創作などにあたるが、著作権の消滅した二次創作であれば何も問題はないともいえる。
14-16世紀ごろ書かれた『封神演義』の登場人物に那咤という仙人がいる。
この那咤は中国神話の自然の神である四海竜王の一角「東海竜王」を倒してしまうほど強い仙人だ。
そんな那咤だが封神演義発表後の16世紀に書かれた『西遊記』では孫悟空に三度もやられてしまう。
西遊記が封神演義の後乗せを行ったことで、
神話の竜王<封神演義の那咤<越えられない壁<孫悟空
の図式が生まれてしまった。
他者の作品の登場人物を自作品で打ち負かすというのは、現代では禁じ手として見做し酷評へと繋がる行為である。
しかし封神演義の評価も西遊記の評価も高い(西遊記は一段落ちるが)
*近年『チートスレイヤー』が似た行いをやって炎上してましたが、パクられ側の作者としてはたまったものでは無いと思う。
と中国の神話を例にとったが他の地域でも神話では二次創作にて過去の別作者作品をもとに構成されるのは許されるし好意的に受け止められるケースが多い。
神話は”虚”なのか
先に記した通り全てが虚ではない。
きっとギルガメシュはエンキドゥと各地で戦っていたし、スサノオは姉のアマテラスにウンコを投げつけたし、ゼウスは父から王位を簒奪したのだろう。
しかしギルガメシュは200キロもある斧や弓は扱えなかっただろうし、スサノオが髪の毛を投げても草木にはならんだろうし、ゼウスも雷になって空中を飛んだりはしないだろう。
虚実を合わせ持つ神話を紐解き「虚を払ったら実はこうだったんだよ」をお伝えできれば、魅力溢れる世界を届けられるのではないかということでこのnoteを記すことにする。
とまあここまで固く書いたけどぶっちゃけ「神話楽しい」をただただ伝えたいだけです。
現代では数々の神話をもとにした話をミックスされたお話があります。
そこで「あ、この話○○の神話で見たことある」や「この話は元々○○だったのを改変してきたのか」など後ろっ側が分かるとよりエンタメが深く楽しめるので、とてもおすすめです。
テレビ番組見てる時に「あ、この曲○○のゲームのやつだ」って気付いた喜びに似てるかもしれない。
*著者はユニコーンガンダムの曲が流れるたびに喜んでます。