読書感想〜水たまりで息をする〜
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夫がお風呂に入らなくなる
「水道水が臭いから、痛い気がするから」といって
体を洗わないので臭いが強くなっていく
それでも体を洗わない夫
夫はおかしくなってしまったのだろうか?
相手を思い遣るとはどう言うことなのか?
夫はお風呂に入れるようになるのだろうか…?
まず、臭いに対しての表現が多彩で匂い立ってくるような作品
夫がどんどん臭くなっていくので、その表現も強くなっていきます。
そして、文章が読みやすく引っ掛かりはないのであまり気にならないけど、よく考えたら気持ち悪い話ですね笑
現実的に臭いがキツイ人に嫌悪感は抱くとは思うのですが、言ってしまえば匂うだけ。ただお風呂に入っていないだけ。それだけで人を評価し異物として弾き出す。
現代人は無関心なのに不寛容
助けを求めにくいのに、うっかりつまずくと過剰に攻撃されるのは生きにくいですよね
そんな夫を受け入れていこうとする妻・衣津実
それが愛なのか、それとも自分で判断できないだけなのかは微妙なところに感じました。ただ流されているだけなような…
そして衣津実もまた、異常性のようなものを含んでいるようにも。
だとすると、一体正常とはなんなのか?
スッキリした読後感を味わえる作品ではないかもしれないですが
愛なのか多様性なのか、何かを考えるきっかけになる作品だと思います