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通常学級でインクルーシブ教育を実現する方法:岩瀬直樹さんの教育観の変遷に学ぶ

軽井沢堀越学園校長の岩瀬直樹さんが、公立学校時代にどのように教育観を変えてきたのかを描いた青山新吾さんとの対談本『インクルーシブ教育を通常学級で実践するってどういうこと?』(学事出版)を読みました。彼の教育の進化が鮮明に語られており、とても面白い一冊です。

内容を簡潔に言うと、岩瀬さんはこれまで「プロジェクトアドベンチャー」「作家の時間」「振り返りジャーナル」などの教育コンテンツを次々と提案してきましたが、本書では「コンテンツ中心の発想」からの転換を示しています。

もちろん、新しい教育コンテンツを学ぶことは重要です。しかし、それはあくまで出発点に過ぎません。岩瀬さんが本書で語るのは、方法を通じてどのように教育観や子ども観を鍛えていったのか、つまり「ふり返り(リフレクション)」の重要性です。この対話は2019年に行われました。

同じ時期に、岩瀬さんは井庭崇さんとも対談しています(『クリエイティブ・ラーニング』2019)。この対談では、井庭さんの「パターン・ランゲージ」や「ジェネレーター」の考えに触れ、岩瀬さん流の教育進化のパターンが見えてきます。

似た進化パターンを持つ人物として、「賢治の学校」で知られる鳥山敏子さんがいます。

青山さんとの対談の中でも「パターン・ランゲージ」や「ジェネレーター」を通じた「進化」の痕跡が見られます。特に岩瀬さんが自身の教育実践を語る際に「パターン・ランゲージ」を意識していると感じられる発言として、以下の二つがあります。

1.「うっかり協力してしまったという体験」
  「うっかり夢中になるんです」
2.「学びのコントローラー」は子どもたちの手にある!

『インクルーシブ教育を通常学級で実践するってどういうこと?』

このうち、特に興味深いのは「コントローラー」というメタファーです。コントローラーは機械の操作装置を指しますが、ここでは「学びのコントローラー」として、ゲーム機のそれに類比されているようです。このメタファーは、教師が(保護者も)子どもたちと学びを共有する際の大事な視点を提供してくれそうな予感がします。

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