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フィールドワークレポート:蓑手章吾さんのオルタナティブスクール「ヒロック」での発見

ヒロック訪問:初見の印象

先日、世田谷にある蓑手章吾さんのオルタナティブスクール「ヒロック」を訪問し、フィールドワークを行いました。1日活動を観察する中で、教育的な実験の断片が詰め込まれた場面に数多く出会い、頭の中が整理しきれないほどの刺激を受けました。


自由進度学習:ICTドリルの多様性に驚く

9時から2時半までの活動の中で、いわゆる自由進度学習に相当する時間は1時間程度でした。この時間中、特に印象的だったのは、子どもたちが「(良い意味で)非常に雑多なICTドリル」を使って学習していたことです。

多様な出どころのICTドリル

ICTドリルは、蓑手さん自身が持ち込んだものだけでなく、シェルパ(ジェネレーター役の大人)が提案したものや、子どもたちが自ら見つけてきたものも含まれています。しかし、子どもたちが提案したドリルも全て自由に採用されるわけではありません。大人が「目利き」を行い、学習効率(コスパ)の良し悪しを見極めてフィードバックを与える仕組みがありました。


公立学校との自由進度学習の違い

公立学校での自由進度学習は、主に教科書やワークシート、NHK for Schoolの動画を活用したコース学習が一般的です。この手法は、愛知県東浦町立緒川小学校で実践された単元内自由進度学習の影響を受けています。

一方で、蓑手さんの「ヒロック」で行われている自由進度学習は、それとは異なるアプローチを取っています。特別支援学級での経験が背景にあるそうです。蓑手さんはICT教材のレスポンス性が、子どもたちを学びに引き込む大きな力になることを実感し、それを基に通常学級に応用したと言います。


モンテッソーリ教育との類似点

ヒロックのシェルパたちは、授業中にPCを持ち歩き、観察記録や子どもたちへのインタビュー内容を常にメモしています。この姿は、『モンテッソーリ 子どもの家』(2021)というドキュメンタリー映画で見たモンテッソーリ教師の姿と酷似していました。

ICTドリルと感覚教材の共通点

モンテッソーリ教育では、集中力の乏しい子どもたちが感覚教材を通じて大きな集中力を発揮する様子が描かれています。一方、ヒロックではICTドリルがその役割を果たしているようです。ICTドリルは個々の子どもに応じて選定・提供され、その効果が常に観察・記録されています。


自由進度学習の本質と未来の可能性

蓑手さんの言葉によれば、自由進度学習の本は、自己調整学習の観点から書かれる予定だったとのことです。緒川小学校での実践をモデルにすることも可能ですが、より生産的なのは、自由進度学習の根本原理を見極め、それを基に新たな教育実践に再構築することだと感じました。


まとめ:ヒロックでの気づき

今回の訪問を通じて、ICTドリルの可能性や、観察とフィードバックの重要性を改めて確認しました。蓑手さんの学校での実践は、自由進度学習における新たな方向性を示しており、それが公立学校や他の教育現場にも示唆を与えると感じます。

皆さんは、自由進度学習の可能性についてどう考えますか?ぜひコメントで意見をお聞かせください!

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