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FF15で旅をする

ゲーム感想 FINAL FANTASY XV
総プレイ時間 45時間
ネタバレあり

物語

 ルシス王国とニフルハイム帝国の間で長く戦争をしてきたが、停戦協定を結ぶこととなった。その和平の証として、ルシス王国の王子ノクティスは帝国属州テネブラエ出身の神凪ルナフレーナとの結婚式を執り行うため、王の盾グラディオラス、側付きイグニス、幼馴染のプロンプトと父王レギスの愛車レガリアに乗って旅立つ。
 しかし、停戦の調印式のその日、帝国は王国を襲撃。王都インソムニアを蹂躙し、王が持つクリスタルを強奪。最中、父王も倒れる。王都より逃れたコル将軍の導きにより、ノクティスたちはクリスタルを奪還する力を得るため、世界に散る歴代王の墓を訪れることとなる。
 一方で世界は、「星の病」により夜が長くなり、強力なモンスター「シガイ」が発生するようになっていた。クリスタルに選ばれた「真の王」として星を救うため、ノクティスは歴代王の力だけではなく神話の六神の啓示を受けることとなる。そして神凪ルナフレーナはノクティスが啓示を受けられるよう、六神を起こす旅をしていた。
 道中、敵国の宰相であるアーデンの力を借りながら、海の向こうオルティシエにたどり着き、ルナフレーナが起こした水神の啓示を受けようとするノクティス。それは、数年ぶりのノクティスとルナフレーナの再開でもあったが、アーデンと帝国の思惑により、言葉を交わさないままルナフレーナは命を落とす。
 悲劇はそれにとどまらず、水神襲撃の最中、イグニスは視力を失う。仲間が重症を負い、ルナフレーナを失ったことで王としての役目に迷いを抱くノクティスだったが、それでも仲間の力で前へ進む。
 王の自覚に乏しいままのノクティスは、アーデンの挑発に乗って帝国の軍事施設へと侵入する。一時仲間とはぐれたが、どうにか合流し、ついにクリスタルへとたどり着く。
 しかし、「真の王」として力を蓄えるためクリスタルへ取り込まれたノクティスに知らされたのは、星を救うためには自らの命を代償にすることだった。またアーデンは初代ルシス王の候補であったことを知る。アーデンは人間の「シガイ化」を食い止める能力を使いすぎた結果、汚れてしまいクリスタルから拒否された。シガイ化が進んだことで死ぬこともできず、「真の王」への復讐を果たすために帝国へ入り込み、帝国上層部を形骸化させ、2000年もの間「真の王」ノクティスを待っていた。つまり、アーデンがノクティスたちの道中を助けたのは、ノクティスを「真の王」とし、殺すためだったのだ。
 クリスタルに取り込まれたノクティスが目覚めると、すでに昼は失われ、10年もの月日が経過していた。
 仲間はノクティスを迎え、「真の王」としての役目を果たすべくアーデンがまつインソムニア王宮へと向かう。アーデンを倒し、玉座でノクティスは歴代王の力を受け、クリスタルを開放。星を病から救った。「真の王」と引き換えに、世界には再び朝日が登る。 

システム

舞台
 半オープンワールド。王都を旅立ってすぐからレガリアに乗って様々な場所に行けるようになる。初期段階から高難易度ダンジョンに入ることもできる一方、ストーリーを進めないと入れない場所もある。
クエスト
 メインストーリーの他に、会話や行き着いた先で発生するサブクエスト。レストランで受注できるモブハントと呼ばれるモンスター討伐クエストがあり、推奨レベルが記載されているので、対応できるところからすることになる。広いフィールドを歩いていてもモンスターと遭遇することはできるけど経験値がしょぼい。サブクエスト、モブハントを消化しながら、お金と経験値を稼ぐことになる。
バトル
 アクションバトルではあるが、コマンドバトル風のバトル方式を選択することも可能。モンハンとかやったことある人なら、全然アクションバトルでも難しくはないはず。私はアクションバトル好きだけど得意ではないタイプですが、難易度普通で、一回もゲームオーバーせずにクリアしました。

良かったところ

 本作は賛否両論のなか、否が聞こえることも多いのですが、ちゃんと楽しかったので列挙していきます。


冒頭の演出
 物語は広大な岩砂漠をノクティス、グラディオラス、プロンプトがレガリアを押して始まるところからスタートなのですが、この演出が良かった。FFといえば当時の最先端をいく美麗な映像、なんですが、岩砂漠から始まるんです。できるのは視点移動くらいで、この途方も無い道をゆく広大さと、軽口を叩き合う仲間たちの距離感が知れる良い導入だと思いました。美麗で細部までこだわった映像を期待していた人はがっかりしたかもしれませんが、美術に注目を浴びてしまうFFだからこそ、最初に人間関係にフォーカスさせる導入でした。


愛車レガリアの存在
 ファンタジーで車移動って!という声もありますが、そして最初はそう思うし、ファストトラベルも車に戻ってそこから移動になるので2度手間になって面倒。そもそも、結婚式に行くのに車って。しかも護衛3人で。とか思うんですが、乗っている内に愛着が湧く。新しいエリアに入った時も、ただ開けるんじゃなくて、風景が流れていくのが気持ち良い。なにより、父王の形見でもある。歴代FFのサントラが聞けるのも良い。
 途中でレガリアが帝国に奪われ、奪還のために敵の基地へ侵入します。これ、ストーリーさくさく派は「いや、たかが車に......」って思ってしまうかもしれない。サブクエやモブハントをしっかりやっていると、レガリアとの時間も長くなるから「取り返さなきゃ!」って思うんです。レガリアが4人目の相棒。だから、壊れたときは悲しかったし、ちゃんと修復されると良いなって、思います。


仲間の存在
 FF15賛否両論の否で聞かれるのが、仲間のあり方なんですよね。圧倒的に、背景とか描かれてないんですよ、グラディオラス、イグニス、プロンプトの背景が。後のDLCで描かれますけど、本編だけだと謎行動・謎言動に見える。グラディオラスが途中で抜けた理由が曖昧だから「え、王子放って何してたの?」って思うし、なんでイグニス目が見えなくなったとか、プロンプトのいきなり自らの出自を告白してくるし。全部、DLC任せなのは良くない。
 でも不評のチャプター13で、仲間のありがたみをしみじみと感じます。チャプター13が不評な理由は色々ありますが、まずは今まで使っていた武器が使えなくなって、使い勝手の悪い指輪だけになります。それから、一人行動になります。難易度が跳ね上がるんですね。まぁ、調整もされたため今はさくさくっと行けるので、ダンジョン自体が長いのを除けば、トウフハザード的に簡単に攻略できます。ただそれでも、普段のクエストとかモブハントだと一人でも行けるかなってとこあるんですが、一人である自分の無力さを実感しました。あと、普通に寂しい。
 ノクティスはスタート時は子どもなんですよ。旅のなかで成長していくんですが、成長させてくれたのは仲間だったんだなって、思います。だから助けたいし、離れがたいんですね。

チョコボ
 チョコボがめちゃくちゃ可愛いです。チョコボ最高。

気になったところ

 もったいないなーってところも多々ありました。作り込めなかったんかなぁ。
空気すぎるヒロイン
 ルナフレーナとの再会は、ルナフレーナの死、という演出を優先しすぎた結果、ルナフレーナは重要なポジションのはずなのに空気。ノクティスとの絆を思わせるのは過去の思い出と、犬を介した交換日記だけなんですが、いかんせん過去の思い出は幼いころすぎて恋愛感情に結びつかない。交換日記も過去分が読めるわけじゃないから、ルナフレーナやノクティスの気持ちの動きがわからないんです。もちろん、プレーヤーとしてもルナフレーナへの愛着がいまいち。可愛くて清くて、健気なのはわかるけどそれくらいで。正直死んだことより、イグニスの目(とそれに伴って失われる手料理)の方がショックだった。最後、結婚式シーンあったけど、ヴィヴィアン・ウエストウッドのドレス素敵だったけど、取ってつけた感。クリスタルに選ばれてしまった息子へ、だからこそ王子ではなくただの父親として接し続けた父王の気持ちの方がよっぽど伝わってきたぜ。

唐突な決意
 ノクティスがクリスタルに取り込まれて10年。もちろん、この10年が描かれることはないので(後に拡張パック出ましたが)、プレーヤーとしてはなんであんなに悩んでいたノクティスが急に腹をくくったのかわからなかった。例えば、かつて仲間と旅した世界を、10年の間に昼を失って荒廃してしまったあとに巡れたら。そしたら、命を賭けても取り戻したいと思えたかもしれない。でも、あの流れでは「よし、目覚めたで。行くか」とはなれない。仲間が、10年ぶりの再会を喜ぶエピソードもなく、死に送り出すっていうのは、なんか辛かった。10年後の世界をレガリアで仲間と走る。そんな映像が一つあれば消化できた気持ちなんだけどね......。

歴代王の力の扱い
 歴代王の墓は12個あって、そこに父王を足して13の歴代王と、対応する剣があるのですが、全部収集しなくていい。っていうのはどうなの?と思いました。歴代王の力、大したことないじゃん。ストーリーでゲットできるのは8つ?かな?あとはサブクエストや探索で見つける感じで、私は10個でクリアしてしまいました。なんだかなぁ。ちゃんとストーリーに入れるべきだったのでは。

サブクエの充実とストーリーの過疎
 ストーリーだけにかかった時間は20時間弱。他の25時間はサブクエとモブハントしていました。問題はサブクエ、モブハントをしっかり回収していると、チャプター4くらいのときにはもうレベル40くらいになるんですよ。そうすると、ストーリーはかなりヌルゲーになります。ラスボスに対して、50レベルもあれば問題ないので。サブクエ、モブハントはやりこみ要素の一つ+弱いまま進んでも過去に戻ることができるので過去に戻って経験値稼ぎできる、ってことなんですが、今できるものは今やる派は、ストーリーかなり簡単に終わっちゃいました。おかげさまで、ストーリーのあっさり終わっちゃった感にさいなまれました。

Stand by me
 私、Stand by me っていう曲が大好きで、そしてFF15のストーリー的にこの曲はぴったりだと思うんです。思うんだけど、和訳、てめー、なにしてんだ。
 これが書きたくてダラダラここまで書いてきました。
 物語の終盤、世界は昼を失って、危険な場所になってしまうんです。そしてそれを救えるのはノクティスだけ。でも、それにはノクティスの命が必要なんですよ。でね、Stand by me の歌詞っていうのは、

もし夜がきて
世界が暗闇に沈んで
道を照らすのが月明かりだけになってしまっても
私は怖くないよ
君がいれば
だからどうか側にいてほしい
側にいて欲しいんだ

っていうものなんです。拙い和訳ですみませんが。
 ねぇ、これでよかったじゃん。ノクティスもグラディオラスもイグニスもプロンプトも、誰も言えない言葉がある。それは、ノクティスに生きていて欲しいということ。それが王の使命で、それをノクティスは受け入れているから。最後の焚き火で、ノクティスがやっぱり辛いって言っても、それを受け止めることしかできないんです。(ここのイグニスの「聞けてよかった」っていう宮野真守の演技最高すぎて頭おかしくなった)だからこそ、歌で側にいてほしかったって、メッセージが乗ると思います。
 もっというとね、仲間としては、もう昼が来なくなって、世界が大変になったとしても、ノクティスに側にいて欲しい。って思ってても不思議じゃない。プレーヤーとしての私もそう思った。でも、役目を放棄するのは王ではないから。そしてFFではないから、見送るんですよね。
 それなのに、この曲が流れているとき、冒頭の車を押しているシーンの会話が流れるんですが、そしてその演出も好きだんだけど、表示されている歌詞が、意訳されすぎていていて。え?ってなった。
 もう、そんな歌詞にしちゃったら、Stand by me の意味ないじゃん。このときばっかりは英語でプレイすればよかったと思ってしまった。
 最後の写真を選んでいるときにPS4が落ちるという災厄に見舞われ、二回もイフリート倒してまでたどり着いたエンディングで、まさかのとんでも意訳。頼むよ〜。

最後に

賛否両論あるFF15ですが、私は好きです。仲間たちもレガリアも。キャラデザだって個人の好みだし。だから、旅ができない昨今、仲間と車で旅ができるFF15、ぜひやってみてください。ストーリークリアしなくても、サブクエスト進めてるだけで旅気分で楽しいので、ぜひ。

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