プロインタビュアー・書評家の吉田豪氏とタレント・作家の宮田愛萌氏のYouTube動画を見た。面白い内容だ。二人の本への愛が視聴者に伝わってくる。
蔵書について
序盤の話で宮田愛萌氏が吉田氏に対し、蔵書で床が抜けないのかという直球質問を行った。吉田氏は次のように答える。
やはり、蔵書の保管問題は二人とも悩みどころである。
宮田氏は古典文学・短歌・小説などの文学を中心に二千冊程の蔵書を所持している。他方、吉田氏はプロレスからアイドルまで数々の書評を行ってきた。インタビューした人数も多々経験している。有名人や著名人とインタビューする際に文献資料による下調べを綿密に行い、人物像を徹底的に研究するのだ。インタビューの対象者はプロレスラー・俳優・アイドルなど多岐にわたる。保有する蔵書のほとんどは「タレント本」となる。
現在では、4万冊以上の蔵書を2つのマンションで管理しているという。
宮田氏は幼少期から読書に親しんでいた。母親に読み聞かせをしてもらううちに、母自身が面倒くささを感じるようになった。それで絵本の漢字にひらがなのルビを全部ふったそうだ。結果、宮田氏は自然に文字を読むスピードが速くなり、たちまち読書家に育った。あまりネットを見ることは好まず、家で本を読んでいると心が落ち着くそうである。文学作品のほかに漫画も愛読するが、母親は読むスピードが速い宮田氏を見て、家に漫画があふれていくのを懸念し、なるだけ文字の多い本を読むように規制していったのである。
また、宮田氏は純粋に本そのものが好きであり、背表紙を見ても楽しいという。休日に書店に足を運んで、晩飯前まで店内の書棚を回っている。いわば「読書狂」といっても過言ではない。
一方で、吉田氏は相当の本好きであっても、最大1時間で店内を回って帰途につく。比べ物にならないほどだ。
宮田氏は次のように語る。
ここで出てきた「出版区」とはYouTubeで配信している出版業界のコンテンツ企画であり、「本屋ついていったら1万円で何買うの?」というテーマで著名人・有名人の頭の中を覗くという番組である。宮田氏は2回参加したのである。
なぜアイドルに!?
宮田氏は元々本への愛が非常に強く、大学では日本文学を専攻していた。卒業したら、図書館司書か出版社で働くことを夢見ていた。偶然、知り合いからアイドルのオーディションがあることを聞き、応募したところ、見事に合格した。後に日向坂46のメンバーとなる。その経緯について宮田氏は次のように話す。
宮田氏はその後アイドルとして活躍する。やがて、読書好きや文学好きが高じて出版社から小説の依頼を受け、作家デビューを果たしたのである。日向坂46を卒業した後、タレントとしてテレビやラジオに引っ張りだこになる。『きらきらし』(新潮社)や『あやふやで、不確かな』(幻冬舎)が代表作となる。
動画では二人の本にまつわる話が充実している。将来的に読書人口の低下を防ぎ、出版不況をものともせず、日本人の本好きを増やすことを目標に掲げている。日本の読書文化を復権させることを構想している。
二人の活躍から目が離せないものとなるだろう。
<読書案内>
宮田愛萌 『あやふやで、不確かな』(幻冬舎)
吉田豪 『聞き出す力 FINAL』ホーム社