そもそもナタデココとは何?
https://youtu.be/_b_f6qrVz5g?si=kwR0KWiYuBJ_4Y3K
フィリピンで生まれた発酵食品です
ココナッツウォーターに酢酸菌の一種であるナタ菌と、砂糖や酢などを加えて1~2週間ほど発酵させると、表面にこんにゃくのような層ができます。この層が一定の厚みになったところでとり出し、サイコロ状に切って加熱するとナタデココができあがります。ナナタデココに必要なナタ菌はフィリピン政府が輸出を規制しているため、日本では入手が困難です。
ナタ菌の働き
ナタ菌と呼ばれるのは酢酸菌の一種であるグルコノアセトバクター・キシリナス(旧名アセトバクター・キシリナム)で、グルコースなどの糖類を発酵して食物繊維の一種であるセルロースを合成します。ナタ菌が合成したセルロースは「バクテリアセルロース」と呼ばれ、植物由来のセルロースと比較して非常に細くて強く、工業利用もされています。ナタデココはナタ菌の産出したセルロースゲルを利用した食品であり、ナタデココ特有の食感は、このバクテリアセルロースによるものといえます。ナタ菌を含む酢酸菌には腸内にある免疫の働きを活性化させ、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー症状を緩和する効果が期待されています。さらに酢酸菌と乳酸菌を一緒に摂ることで、アレルギー症状の緩和効果が2倍に高まるという実験結果もあります。ナタデココヨーグルトは、アレルギー症状の緩和にも効果が期待できるデザートともいえます。
ナタデココの歴史
ココナッツを使用したナタデココは1953年にフィリピンで生まれました。フィリピンではココナッツは国民の生活に欠かせないものであることから「ココナッツ庁」があり、ココナッツ庁がナタデココの作り方を啓蒙したことで、国民に広まっていきました。しかし当初のナタデココは生産量や品質が安定しなかったため、1973年に微生物学者のサンチェス博士が酢酸菌(ナタ菌)を使った安定的なナタデココの作り方を提唱し、現在のようなナタデココがつくられるようになりました。フィリピンでは昔から一般的なデザートである、ハロハロにナタデココが使われています。日本では1970年代後半にフルーツ缶詰にナタデココを入れたものが発売されたのが最初といわれています。1992年ファミリーレストランがナタデココにヨーグルトとフルーツソースをかけたデザートを発売したことで、人気に火がつきました。家庭向けの缶詰などが爆発的に売れ出したことで、フィリピンでの製造が間に合わず、売り切れが続出しました。1993年には日本国内の漬物メーカーがナタデココ製造に成功し国内生産を開始しましたが、1994年には早くもナタデココブームは下火となり、短い期間で去っていきましたが、現在でも缶詰やパック詰めの商品はスーパーなどでも販売されており、デザートやドリンクの材料として利用されています。
ナタデココの栄養
ナタデココ自体は99%が水分で、ビタミンやミネラルなどはほとんど含みませんが、非常に低カロリーな食品です。組み合わせる食品によって、カロリーを抑えながら栄養補給ができるデザートをつくることができます。
食物繊維
食物繊維は人の消化酵素で分解されない成分で、水に溶ける水溶性食物繊維と水に溶けない不溶性食物繊維に分けることができます。ナタデココに含まれるのはセルロースという不溶性食物繊維の一種です。セルロースは植物の細胞壁の主成分ですが、ナタデココに含まれるセルロースはナタ菌がつくり出したバイオセルロースです。バイオセルロースは植物性セルロースより純度が高く、三次元の網目構造を形成しています。不溶性食物繊維であるセルロースは、腸内で水分を吸収して便の量を増やします。便の量が増えることで大腸が刺激され、便通を良くして便秘改善の効果が期待できます。また有害物質を吸着して便と一緒に排出することで、大腸がんのリスクを軽減できる可能性があります。さらに食物繊維には、腸内の善玉菌のエサとなって腸内環境を整える役割もあります。ナタデココ入りのドリンクの中には、食物繊維の有効性を表示できる特定保健用食品※1として、消費者庁の許可を受けている商品もあります。
※1 特定保健用食品は、生理学的機能などに影響を与える保険機能成分を含む食品で、消費者庁の許可を得て、特定の保健の用途に適する旨を表示できる食品です。
薬膳の効果
ナタデココの原料となるココナッツには、エネルギーを補う働きがあります。初期の風邪の諸症状を緩和したり、小児の疳の虫を抑える効果があるといわれています。