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ファシストの 父親の こと       

『益山弘太郎詩集』


詩:益山弘太郎

Poem, 詩になるかどうか
語らずには 居られない
聞いてください

私が いつも 言及する
狂気の父親との
少年時代の
生活

母親は 職が あった から
私はいつも 父と 2人きり

会話 といえば
世界に冠たる 優秀美を誇る
日本国を 賛美する だけ

30分 演歌 TV番組 が
ちらっと
観客席 は 父親と 同年代

「ふざけるなー いい歳をして たわけた ダラ放送を 得々として 観やがってー
弛んでら!一億総白痴化 」

と 怒鳴り
チャンネルをNHKに変える

萩本欽一と 坂上二郎の
コント55 も 理解できない

「 何の真似だ 喜劇役者が 自分で 笑って どうなる 」

・・・私は 生まれて そのかた
1億人の現在を味わえなかった
山口百恵も 稀に 観ただけ

そして
父は 民主主義の 象徴の
水戸黄門
も 解釈できなかった

「 何を 吐かしてんだか 分からねえ 天伝メチャクチャだ 」
水戸光圀公 が 町人 農民を 救うことが ナンセンス だと 思っていた . . . .
 武士 といえば
切り捨て御免 の 印象だけ

主題歌も 気に入らなかった
[ 人生 勇気が 必要だあ. . . ]

「 たるんでらぁ たわけた歌を歌いやがって なんの意味だー」
民主主義の全てを嫌った父親は 自由を全て 剥奪した

それは 私が生まれる前後から . . . .

 

わが家には青い 山脈
石原裕次郎 と 太陽族
吉永小百合

夢路 いとし こいし

が   なにも
         無かった



【解説】

中学高校からの友達や先生に聞いてもらいたかったけれど、あまりに現実離れ・時代錯誤なので、どうはなしていいかわからず、ひとりで悩んでいるだけだった。63歳になって詩にまとめることができたのはよかった。
小さい頃は、ご飯を作ってくれることとキャッチボール以外は父らしいことをしてくれなかった。
小学5年生以降、ずっとオヤジのせいだと思っていたけれど、自分が生まれ持っている執着心が邪魔をして、自分の苦しみを増していたかもしれない。

最近、夢をみた。
VR(バーチャル・リアリティ)のようなリアルな夢で、あれは天国だな。母がいた。母は車いすに乗っていて、内容は忘れてしまったが沢山話をした。それから、驚いたことに父もいた。でも、父はボーっとお内裏さまのように座っているだけだった。
僕の中の天国に父もいたことに、ちょっと驚いた。

中学高校の友達にずっと話したかったけれど
何人もの友達ができたのはハーモニーに入った50過ぎの事だった。



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