
オリオンバスとぼくと記憶
オリオンバスで帰ってきたよ。
ぼくがよく使う夜行バス。
最初からリクライニングを倒しておくっていう気遣いがジーニアスなバス。
てんててんててん、てんてんてんてんてんてんててーん♪
車内アナウンスのメロディが流れると、いつもなら胸が苦しくなって涙が出そうになっていたけど、もうそんなことはなかった。
オリオンバスはいろんなぼくを乗せた。
あの人とバイバイしたあとはオリオンバスだった。
いつもバス乗り場まで見送りに来てくれた。
最後にぎゅってして、またねっていって乗る。
バスに乗ってひとりになるとは、ぼくはその子と過ごした時間の余韻に浸る。
そして、幸せな気持ちと会えなくなるさみしさが混じり合ったような感情を抱きながら涙を流す。
どこかには、また会えるかなっていう不安な気持ちも潜んでたんだろうな。