東洋医学のツボは、人を活かすことも殺すこともできる〜点穴の秘密①
中国武術は多くの神秘的な話が存在する。それは一つ間違えればオカルトチックになり、胡散臭さを醸し出してしまいかねません。
その神秘の一つに急所を突く"点穴"の技があります。あるツボ(経穴)に一撃を加えると即死したり、手足がマヒしたりするという。今回はこの"点穴"について数回記してみたいと思います。
【八不打とは?】
中国武術の七星蟷螂拳のテクニックの中に「eight attacking point(ハ打)」と「eight non attacking point(八不打)」がある。
『八打』は修業者が打っても、相手を殺してしまうことはない部位なので、攻撃してもよい。
『八不打』は相手に致命傷を与え殺してしまうから修業者はその部位に攻撃してはならないと言われています。
そこで東洋医学、とりわけ鍼灸医学の観点から見てみると、治療においては、体の大小、男女、年齢、病気の種類などから、正しい判断(望診・聞診・問診・切診)に基づき割り出されたツボ(経穴)に、正しい方法で経験的に定められた適度な強さの刺激を与えれば、病気を快方に向わすことが出来ます。
但し、これは諸刃の刃であって、たとえ同じ経穴であっても刺激の与え方いかんによっては、非常に危険な場合があり、
元気がなく身体全体がパワーダウン(虚)している患者さまに、強刺激の鍼治療を施せば、その方のパワーはさらに落ち込み、身体が益々弱ってしまいます。
場合によっては"ハ不打"と言われている経穴への施術であったときは、相手を殺してしまいかねない状況に陥ってしまうかもしれません。
ある有名な鍼灸の先生は、「同じツボでも鍼を刺して回旋させるのを右回転から左回転に変えるだけで、めまいを意図的に起こさせて失神させることが出来る」と言ってられました。
また逆に、気を首を吊って自殺を試みた人を鍼で蘇生させたこともあるという話も聞いたことがあります。
以上を踏まえて考えると、経穴には一方では治療としてのプラスの面、そしてもう一方は打ってより大きなダメージを与えるマイナスの面の二つがあるということですね。
では次回ハ死を呼ぶ"ハ不打"の経穴について検証してみましょう。