震災、戦争、コロナ……“語り”がきっと人をつなぐ。あなたも話していいんだよ 『声の地層』〈レビュー〉
三鷹にある書店UNITÉ(ユニテ)で行われたイベントで、登壇された生きのびるブックスの編集者・篠田里香さんにご挨拶した際、私は生きのびるブックスがずっと気になってはいたもののまだ読めていなかったので、失礼ながら「1冊勧めるならどれですか」と伺った。篠田さんが差し出したのは、『声の地層』だった。
著者の瀬尾さんは、大学を卒業したばかりだった東日本大震災直後、ボランティアとして訪ねた先で人々の被災経験を聞いた。被災者たちは、あまり役に立てず所在無げにしていた瀬尾さんと友人に声を