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シシュだ!好きなものを見つけたのなら、絶対に死守だ!全力で死守だ!

長女「私、プロゲーマーになりたい!」
パパ「どーぞー!」

長女の”恐竜熱”の情熱の炎のようなものが、
そろそろ終盤を迎えているようだ。
誰だ?燃え尽きる寸前が一番綺麗って言ったのは?
終わりまでの30秒、カウントダウンに入っていそうな頃なのに、
やっぱり恐竜の肌はゴツゴツで、歯は刺々しくて、
本当は誰もリアル恐竜を見たことがないくせに、
さも当然のように、
黄土色とか、ねずみ色とか、深緑色とか、子供の色鉛筆で減りが遅いスリートップ
みたいな色ばっかりがボディに塗られていて、
そんなに綺麗ではないし、ママの胸は一向に高鳴らないな。
まあ、恐竜の化石には結構ときめいたけどな。

それでも、ハリカ家のママは、珍しく
ちょっとセンチメンタルな気分だ。
あ、エアコンが効きすぎててちょっと寒いから?
うん、それもあるかもしれん。温度、要チェックや。
意外と温度と気分ってリンクしてることがあるので、
今の技術を普通に使って、
寒かったらしっかり温め、暑かったらしっかり冷やそう。
これ、結構大事!
技術は使われるためにこの世に生み出されたのだから、
便利なものはガンガン使おう!
手に入れたら、それを目一杯に使い倒すいうことが
作ってくれた人に対しての、一番の感謝の表し方かなと思うし、
ひいては、それがまた次の便利な技術につながるような気がするから。
だって使えば使うほど、
もっとここをこうしたい!
とかって発見があるから、また良くなっていくでしょう?

話を戻そう、
とにかく、長女の恐竜熱が、いつから始まったかは、もう覚えていない。
振り返ればいつだって、長女と恐竜はそこにいた。
彼女は、恐竜のフィギュアでストーリーを作って遊ぶのが好きだった。
ティラノサウルスレックスのカップルが子供を産み、
その子供の額になんらかのマークをつけ、
長老っぽいトリケラトプスが大きな岩の上に登って、
岩の下にひれ伏す他の恐竜たちに、その子供をお披露目する。
どう考えてもライオンキングのパク…
いや、ライオンキングへのオマージュ
とも言える作品を何度も披露してくれたし、
毎日、
”今日のわんこ”ならぬ”今日のダイノ(Dino)”をピックアップし、
ランドセルに入れて、一緒に学校へ通った。
ある日、学校で、たぶん忍ばせていた”今日のダイノ”が
先生に見つかったのだろう、
「ウチはウィッチハウス(魔女の家)だから、家にダイナソーを置いておくと蜘蛛の巣だらけになっちゃうの…」みたいな回答を、きっとしたはずだ。
お迎えの時に先生に、
「お家、蜘蛛の巣だらけになってるとか。ハロウィンの飾り付けで盛り上がってるって教えてくれましたよ。」
とか言われて、
「あ、っそ、っそうですか。ハッピーハロウィーン!ハハハハハハハハハハハ〜」
って乾いた笑いで誤魔化したこともあった。2回ほど。
内心では
「節子それ、ハロウィンの飾り付けと違う!
本物の蜘蛛の巣や!
掃除サボったアカシの、本物の、飾りじゃない方の蜘蛛の巣や!」
ツッコミが止まらない。

ただ、掃除が嫌いなメンバーが揃った、汚い家ってだけなのに、
先生が勝手に
”日本人は整理整頓上手でZEN”
みたいに、日本人の衛生観念に対して、ポジティブなイメージを持ってくれていたおかげで、
ただの汚い蜘蛛の巣だらけの家は、
イベントの飾り付けを怠らない、
パーティー大好き、”陽キャ”達の愉快な家族
として認識されることになった。

いやさ、
あんまり言いたくないけど、
本当に、なんとかならん?
マレーシアの蜘蛛、ポテンシャル凄すぎなんだって!
名誉のために、いや、別に名誉なんていらんけど、
言い訳くらいはさせて欲しい。
蜘蛛の巣って、使われていない廃屋とか、旧校舎のイメージでしょう?
だから、”年中ハロウィン開催中の家!”なんて、
一体どんだけ、掃除サボれば気が済むんだ!って思うでしょ?
いやいやいや、蜘蛛って意外とたくさんいるし、想像以上に早く巣を作るの。
想像以上だぞ。
彼らが狙っているのは、
まずはライト周り。
ここはきっと、ライトの光に誘き寄せられた、
彼らの餌が集まりやすい場所だからなんだと思う。
もう一箇所は、角。
いい感じの角を見つけたら、
もう、ヤツら速攻で角を奪取して、
気がついたら職人蜘蛛の巣の技、仕掛けまくってる。
あんなに”角取る職人”レベルが高いのって、
きっと蜘蛛の義務教育終了試験とかで
”オセロを完璧にマスターすること”
がマスト条件になっているとしか考えられない。
人間、負けるよ、きっと。
全角取られたら、だいぶ窮地だから。
ええと、なんの話をしてたんだっけ?

とにかく、長女の恐竜好きのせいで、
ステーショナリーも、おもちゃも、恐竜ばかりになったし、
洋服も、トップスは男の子のコーナーに行って、
恐竜のパターンのものや、
恐竜がデザインされているものを買うことが多かった。
ありがたかったのは、
マレーシアに住んでいて、
「女の子が恐竜なんて変」とか、
「あの子、男の子の服着てる〜」とか全く言われなかったことだ。
それどころか、
誕生日には恐竜のプレゼントをくれたり
長女が考えたらしい、dino play tag(恐竜鬼ごっこ:ただ鬼が恐竜のように追いかけるだけの鬼ごっこ)に、
みんな楽しんで参加してくれたりとか、
ますます恐竜濃度は濃くなっていく一方だった。
いや、濃すぎ!コスギ!ケインコスギ!
元気にされてるかな?ケインさん。

まあ、そのおかげで、彼女は自分の好きな恐竜を、
なんの躊躇もなく「好き」と言えるようになっていたし、
自己紹介の時には、絶対に恐竜の話をしたし、
将来の夢を聞かれた時も「恐竜博士」と答えた。
その恐竜熱は、彼女の見た目や、名前さえも変えてしまったようで、
Robloxのキャラクターを作る時は、
恐竜のアウトフィットを着たり、
ゲームをするときは恐竜やそれに似たもの(ドラゴンなど)を決まって肩に乗せたり、
集まってゲームをするクラブみたいな所では、
彼女は、DinoLoverという名前で呼ばれていた。
ますます、彼女というキャラクターは恐竜で構成されるようになった。
濃すぎ、濃すぎ!ショー コスギ!ここへきて、父も登場!ウェルカ〜ム!

いささか濃くなりすぎたな
と側で見ていて思ったが、
あそこまで、全面に”ダイナソー ラブ”を自信満々に打ち出せると、
それを見て「恐竜に興味ない」と思っている人は確実に近づいてこないし、
結構、便利そうで羨ましいなとさえ思ったりもした。
いや、
実はちょっと悔しいな、
いや、これ多分、嫉妬だな。
大人になって、努力して意識して「好きなものを好き!」ってやっと言える今を
手に入れたママからするとな。



”子供って、一つ興味を持ったことがあると、
それをどんどん自分で突き詰めていって、
自分でガンガン学ぶようになっていくよ”
という子育てについて、今回ここで話したかったのではなく、
(もちろん能力のある子は、そういう副産物もきっとある。)
子供の頃の、
見栄や、人の評価、誰かのコントロールがそれほどかかっていない時期の
”好き”って特別大事にしたいものだ。
それは本当に自分の好きなことの可能性が高いから。

嘘がない自分の感情に、本来、正しい、間違いなんてないはず。
なのに、大人になると、
ダサいって言われたらどうしようとか、
否定されたら、見る目が無いって思われたら、引かれたら…って。
自分が好きなものにダメ出しされるのって、
なんでだろう、時々、自分がダメって言われるよりもグサリと刺さることがある。
だから、「好き」って言うのを躊躇しちゃうこと、確かにある。
自分の中から湧いて出た感情くらい、本当は自由に感じれば良いだけなのに!
まして、それで人の権利を奪ったり、人を傷付けているわけではないのなら、
好きなものは、そりゃ、好き!でいいはずなのに!

死守して欲しい。
それはもう、全力で。
自分の”好き”を、人の”好き”も。
死守して欲しい。
その”好き”は
きっと
人を呼びよせる、
安心できる居場所を作る、
自分の視野を広げる
知らなかった世界と繋がっていくツールにもなりうるから。
どこにでもあるから、意外とそんなに貴重に感じないかもしれない言葉。
たった2文字の簡単な”好き”だけど、
だからと言って、死守しない理由なんてどこにもない。

さて、
先日、長女は言った。
「私はやっぱりゲームが好き。プロゲーマーになりたい!」
恐竜熱が一区切りを迎えた瞬間だった。
パパは、ゴルフのスイング練習をしながら軽く応えた。
「どーぞー。」
それを聞いたママは、慌てて言った。
「RobloxとかGacha Lifeに、プロゲーマー枠はない。
それを仕事にしたいのなら、ゲーム実況配信者になることだ。
ただ、ゲーム実況配信者は、バラエティ豊かに言葉を知っていた方が絶対に面白い。
だから、
今すぐハリーポッター全7巻を読むことを推奨する。」

おい!おま、おま、おま…!
”好き”の全力の死守は、一体どこへいったんだよ!?


読んでいただきありがとうございました。
明日は、きっと、もっと面白い!
では、また。

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