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地理学者 フェルメール シュテーデル美術館
私が初めてフェルメール作品に出会ったのが、このシュテーデル美術館だった。
この美術館は、ドイツ最古の美術館財団としても知られており、銀行家Johann Friedrich Städel ヨハン フリードリッヒ シュテーデル氏の遺言によって、1818年に作られた。
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作品のうち一部のみ抜粋。
『Goethe in the Roman Canpagna』
ローマのカンパーニャのゲーテ
Johann Heinrich Wilhelm Tischbein
ティッシュバイン
ティッシュバインは、実際にゲーテと旅行をした仲であるため、ゲーテを良く知る人物だそうだ。
フランクフルトはゲーテの住んだ街。
とても大きなこの絵は、館内の一番目立つ場所に飾られている。
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『昼食』 ルノアール
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『昼食』マネ
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『The Avenue in Saint-Cloud Park』
Henri Rousseau アンリ・ルソー
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『ジェラシー』ムンク
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『The Holy Cabman』シャガール
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『目を潰されるサムソン』レンブラント
非常に大きなこの絵は、ただでさえその存在感があるが、躍動感がありまるで動き出しそうだ。
美女デリラに騙され髪を切られ、無力になったところを襲われる。
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『ヘロデの饗宴(サロメ)』ルーカス(父)
特にこの母親の口元の微笑みが不気味だった。
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『ルッカの聖母』ヤン・ファン・エイク
細密な描写に、つい見入ってしまう。
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『自画像』 マックス・ベックマン
昨年の特別展にて
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『フランクフルト中央駅』
マックス・ベックマン
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今年の特別展、Ottilie W. Roederstein オティリー・レーダーシュタイン展。
スイス生まれのドイツ人である彼女は、人物画が有名で、フランクフルトに住んでいたそうだ。
彼女は多くの自画像を残しているが、一番有名な一枚がこちら。
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Miss Mosher
こちらが、特別展の最初に飾られており、とても存在感のある絵だった。
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『Weibliches Idealbildnis』 女性理想像
ボッティチェリ
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『Musicians in the Orchesra』
エドガー・ドガ
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『読書をする少女』 ルノアール
美術の教科書の表紙がこの絵だった。
私はこの絵が好きになり、ピアノに寄る少女達の絵と共に部屋に長い間飾っていた。
美術館に行くと、長い間憧れていた絵に会い、ドキドキする事がある。
この絵は私にとって、そんな一枚だ。
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ここからは地下部分の現代美術コーナー。
『ゲーテ』
アンディー・ウォーフォール
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『Nude』ボテロ
このまん丸なフォルムがたまらない。
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『しゃがんだ女性』 ピカソ
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『メルセデスのマドンナ』 Thomas Bayrle
なぜメルセデスなのかと不思議に思ったら、全ての線や点がメルセデスの写真で描かれていた。
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首相官邸カメラマンAndreas Müheによるメルケル元首相の写真展も。
彼は元首相の車に乗り、彼女の写真を撮り続けていた。
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最後に『地理学者』フェルメール
私にとっての初めてのフェルメール。
その時は、まだフェルメールが今ほど騒がれていなくて、私は美術館の一枚の絵としてその絵の前に立った。
半纏を着ているように見えたので、私はとても興味が湧き、その絵をよく覚えていたのだった。
後に、ルーブルで天文学者に出会った時にも、彼は同じような半纏を着ていた。
ジャポン・ロックと呼ばれ、当時は日本の半纏や和装が人気だったそうだ。
地理学者として、世界に視野を向ける男性に相応しい服装なのだろうけれど、冬の受験勉強中の学生のようにも見えて、失礼ながら私はこの絵の前で少し笑ってしまったのだった。
今はフェルメールブームが起き、日本でも度々大きな展覧会が開かれているけれど、私の初めてのフェルメールの絵は、そんな偶然の出会いで、そしてこの絵が好きになったのだった。
昨年訪れた時、館内の一部は修復中となっており、私が見たいと思っていた多くの作品は見ることができなかった。
フェルメールにも会えなかった。
しかしまたこうして、見たい絵に会いに来てしまう。
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節電のためか、美術館の二階部分は冷房が入っていなかった。
30度を超える暑さの中、窓もほとんどない美術館は、蒸し風呂のようだった。
館内案内図を扇子代わりにして、汗だくで絵を見る。
いつもより、足早に通り過ぎた数々の絵。
美術館も絵も大好きだが、やはり絵は心地良い環境のもとで、ゆっくりと味わいたい。
次回は是非、お天気が丁度良い時期に訪れよう。
そんな私の独り言を聞いて、パートナーが隣でクスクスと笑っている。
まだ帰ってきたばかりなのに、私はもう次回の予定を考えていたからだ。
どうしても見たい絵がある。
そして、何度でも見たい絵がある。
だから何度も美術館を訪れる。
私はまたいつの日か、このシュテーデル美術館を訪れるだろう。
暑くもなく、寒くもない時期を選んで。