万能薬ではないけれど、多様な視点のメガネをくれる社会構成主義(タオス・インスティテュート・ジャパン 設立総会 1日目)
社会構成主義についての、タオス・インスティテュート・ジャパンの設立総会が、2023/9/9〜9/10関西大学で開催されました。
研究者でもなければ、何かの学会にも入ってない、本当にただの一般人として家族への実践しかしてない私でも参加していいんだろうか?とビビってましたが、めちゃめちゃあたたかい空間で、楽しすぎる2日間でした。
個人的な振り返りを、2日分に分けてアップしたいと思います。
社会構成主義とは(私見)
「主義」ってつくとあやしく見えるよねという話題も出てましたが、初めて見る方へ向けてあえて書きたいと思います。
実は、定義って人それぞれとも言えるらしいです。もちろんWikipediaや教科書的な説明はありますが、今回の2日間で改めて思った私なりの捉え方はこちら。
「言葉」1つで捉え方が変わる=目の前の現実は変わる
どんな物事も、関係があって初めて成り立つ=相手がいないと挨拶も意味をなさない
同じ「言葉」でも、人によっても、関係性によっても、捉えてる意味が異なる
つまり、相手と共に、意味を作ってく=現実の未来も変えていける
私自身の日頃の生活で具体例を話すと、
「子どもがおもちゃを片付けてない」という言葉で語るのか、「子どもが遊んでる」という言葉で語るのかで、現実の捉え方が大きく変わる(前者は私が「イライラする」という現実になるし、後者は「姉弟仲が良くて嬉しいホッコリ」という現実になり得る
どの言葉も、そもそも「私と子ども」という関係が成り立ってないと、「片付けて!」と1人怒鳴り立てても意味をなさない
「片付ける」という同じ言葉でも、保育園では「先生の命令を聞かねばならない」という意味。家でお母さんに言われるのは「まあ多少は流しても大丈夫」という意味。また、お母さんに言われた時は「整理」せずおもちゃ置き場に放り込む=片付けるだけど、お父さんにとっては整理してしっかりしまうことが片付けるという意味
私と子どもは、「ご飯の時間になったら片付けなさい」という未来もつくっていけるし、「遊びたい時はとことん遊べる」という未来もつくっていける。言葉と関わり方で全然違う未来に現実が変化していく。
ちょっと強引なところもありますが、一旦今時点の具体と抽象を言葉にしてみました。
噛めば噛むほど味が出る、スルメのような社会構成主義の醍醐味を味わってます。
タオス・インスティテュート・ジャパン(TIJ)とは
社会構成主義を学んで実践してる人の仲間が集まった国際NPO団体の「Taos Institute」があり、それの日本支部がTIJです。
学会ではなく、「研究者と実践者が、共に学びとフィールドワークをぐるぐる回していく場」とのこと。
今回、このTIJの設立総会が行われました!
詳しくはこちら
▶︎Taos Instituteの日本ページ
設立総会
設立総会はまず共同代表の鮫島さんからオープニングスピーチがありました。
鮫島さんのこれまでの人生や研究にはじまり、社会構成主義の4つのテーゼや、自分にとって何が魅力的だったのかをお話しいただきました。
印象に残ってるのは、何らかの生きづらさを抱えてるとき、その人本人に原因を探るのではなく、関係性で捉えていくという話。
人間関係の中で起こってることに着目して、支援をしていけないかという投げかけをいただきました。
そして、このメッセージ。
去年や一昨年も、「関係からはじまる」の読書会つながりで、他の読書会に出てる人やガーゲンと話す機会があるたび、「みなさん視野が“社会”や“世界”で、“家族”との関係を良くするために使ってる私はなんてちっちゃいんだ…」と恥ずかしくなってしまってた私に、半年前にも言ってくださったこの言葉。
「自分の世界」の平和、でよくて、一人ひとりの「自分の世界」がよくなってったら、絶対「世界」はよくなってくから。
改めてこうして設立総会の場でお話を聞いて、勇気をいただきました。
参加者同士のワークショップ
後半は、TIJアソシエイトの長尾さんから、参加者同士が話せるワークショップが展開されました。
いろんなお題に合わせて小グループで集まって、3ターンほど話しました。
社会構成主義を他の言葉で表現するなら?社会構成主義的なおすすめマンガ・本は?社会構成主義をどんな場面で使いたい?などなど、時間が経つのも忘れて楽しく話しました。
情報交換会
懇談会ではなく、あくまで情報交換会、とのことで、最後は飲食しながら自由に話すタイム!
改めて全国いろんなところから、いろんな所属の、いろんなお仕事をしてる人が来てるんだなあと興味津々。
2時間以上あったはずなのに、話し足りないくらい盛り上がりました。
楽しかったこと&気をつけようと思ったこと
今回めちゃめちゃ楽しい時間を過ごせて、何がこんなに楽しかったんだろう?と振り返ってみました。
まずは、一昨年「関係からはじまる」、今年「何のためのテスト?」を読み切ったオンライン読者会メンバーと、初めてリアルで全員で会えた喜び。自由にたくさん話せてとても楽しかった!
「社会構成主義ってこういう考えで」とか「ガーゲンっていう人がいて」みたいな前置きなしで、ある程度共通言語で話せることの楽さ。そして共通言語があるゆえのジョーク。同じ空気感で話せたことが楽しかった
本当に色んな分野の人が、日々「実践」されてるんだ!ということを目の当たりにしてとても嬉しかった。勝手に、同志よ!と叫びたい気分
一方で、盛り上がりすぎてる自分に、警鐘を鳴らしてる自分もいました。
多様な人が来てると思ったけど、ある意味みんな社会構成主義という土台でつながってる、とても同質性の高いコミュニティなのかもしれない
「社会構成主義がすべて!」と、万能薬や即効性のある対処法のように、これだけ信じればいい、みたいにならないようにしないとなー
ともあれ、時間があっという間に過ぎてしまった、とても充実して楽しい1日でした。
2日目はこちら
📖ガーゲンの次回作はこちら!
今回を機に、社会構成主義関係のこれまでの記事をマガジンにまとめてみました。