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祖母は身体を乗っ取られ
男の声で喚いていた
合わせた掌は震え

霊というかつて人であった人は
僧侶に縁側に連れて行かれ
尻を叩かれて追い出された

家族はあんぐり口を空け
祖母に入った
見えない男を見ていた

ある時
祖母は再び男になって
喚き出した
欺かれた私たちには
僧侶を呼ぶ暇はなく
母が男を説得したのだ

まさかの男はいなくなった
母は祖母を取り返したのだった

以来
仏壇にお茶が一つ追加された

身体と霊は
バラバラに存在する
霊は出たり入ったり出来る

理屈とか理性とか常識の外に
その夏はあった

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