会社帰りに歌舞伎
あと10分で始まってしまう!
急いでPCを閉じ、そこから走って歌舞伎座に向かう。
今月、歌舞伎座では、勧進帳が公演されている。歌舞伎について、ほとんど何も知らない私でも聞いたことがある有名な演目。
「なんか見てみたい!」
職場の最寄りの東銀座駅は歌舞伎座と直結していて、毎朝歌舞伎座を横目に通勤している私。
いつものように東銀座の駅を出て会社に向かう朝、たまたま公演中の演目のポスターが目についた。
直感で、始業までの間に今夜の「一幕見席」をネットで購入していた。
一幕見席は、一幕(1時間程度)だけ気軽に見ることができる指定席チケット。予約はネットから行い、1600円+システム料金110円。4階席で舞台から遠く、他の座席よりも狭いそうだが、気軽に歌舞伎を見たい場合はこれしかない。
勧進帳の開演時間は19:45なので、仕事を定時で退勤し、夜ご飯でも食べてから優雅に向かおうと考えていた。
しかし、今日に限って急な仕事が入って終業と同時に退勤できず、、。
なんとか走って開始1分前に座席に着いたのに、すでに早めに始まっていた。悲しかった、、。
気を取り直して歌舞伎を楽しむ。
4階席。確かに遠く、肉眼では演者の表情などはとても見えないし、花道も舞台近くの方しか見えないが、舞台全体は綺麗に見えた。
勧進帳のあらすじはこんな感じ。
そうそう、こうだったと、観終わってから答え合わせ。勧進帳のあらすじなども調べないまま観てしまったので、所々聞き取れるセリフから物語を読み取りながら観ていた。
この感じ、去年行ったロンドンのHis majesty’s theatre で観たオペラ座の怪人の時と同じ。あの時も、あらすじを見ないまま挑み、所々しか聞き取れない英語と音楽などで内容を推測しながら観ていた。
古語なので、日本語を聞いているはずなのに、英語を聞いているくらいに所々しか聞き取れないのが不思議で、歌舞伎をこんな風に比較しながら観ている自分が面白かった。歌舞伎は、ミュージカルと違って、音楽で場面を推測するというのが難しい分、やっぱりある程度あらすじ知ってから行った方が良いのは確か。
私は何の知識も無しに本番の舞台を見てしまうよう。次こそはもう少し勉強してから舞台など観に行きたいものだ。
それでも、勧進帳だけあって、舞台は華やかで、見せ場も多くて面白い。
特に、「山伏問答」の場面とか最後の「飛び六方」の部分は迫力があり、ちゃんとは分からないながらも観にきてよかった〜と思えた。
内容を知ってから、また観に行きたいなと思うくらい。
人気の演目だけあって、平日夜なのに席も多くが埋まっているようだった。外国人もちらほら。
所々で観客からの掛け声や拍手も上がり、盛り上がった。
あっという間に幕が閉じて外に出る。
多くの人が帰路に着こうとしてきた。
私は、His majesty’s theatreの外に出たあの時を思い出していた。少し浮かれた観客たちが名残惜しそうに劇場を見上げる。
毎日通っている歌舞伎座だけど、今日は気分が違って見えた。