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晴凪
2020年7月5日 00:16
かつて私のいた世界には、【季節】など存在しなかった。ただ時間だけが流れていく――そんな世界だった。それはこの残暑も変わることは無かった。何事も起こることなく、ただ早く時間が過ぎてほしい、それが私の唯一の願いだった。 今日も原点付近で彷徨いながら一日をやり過ごし、帰路へと向かおうとしたその時、君は私の前に顔を出した。「……僕の恋人になってくれませんか」 突然、彼の口から言い放たれたその言
2020年6月30日 16:40
ユメの国へ行ってくる。 お父さんが家から消えた日の翌朝、手紙が食卓の上に置かれていた。 ソフィアは書かれた文言を眺めながら、楽しそうに話している。「ユメの国って、どんなところなの?」「とても楽しいところだよ」 私は冗談交じりにそう答える。 幼いソフィアは、お父さんのことが本当に大好きだ。 お父さんも彼女の気持ちを汲み取っていたようで、出張で長い間帰れなくなるだろうと判