【超短小説】年雄と会議
年雄は清掃業をしている。
年雄は社会人になってから、会議とは無縁のポジションにずっといる。
そんな年雄が今、会社の会議に参加している。
現場の作業効率を上げる為の会議だ。
会議が始まって30分。
年雄は気付いた。
"学級会のようだ"
会議というか、会議ごっこ。
「あーした方がいい」「こうした方がいい」
意見は出るが、年雄以外現場を知らないことが分かる。
「年雄くん、どう思う?現場の意見を聞かせてくれ」
年雄は「今出た意見は、全部試しましたが、どれも効率悪くなりましたよ」と言いたかったが、「やってみます」と答えた。
生産性のない会議で、的を得た意見をする気になれなかった。
会議が延びるだけだから。
多分この会議は、"現場の事を考えてるよ"っていうポーズだと思う。
だから年雄は思う。
ポーズはポーズらしくしてほしい。
ポーズ程度で現場の効率を下げるのはやめて欲しいと。
浜本年雄40歳。
仕事に共通しているのは、やるならちゃんとやろうという事かもしれない。