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「美味しい」って、魔法だ
冬の寒さが続く日々。それでも、大きな窓から差し込む陽射しは、じんわりとあたたかい。
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今年の1月、長かったキャリアブレイクにひと区切りをつけ、働き始めた。
職場は、古い蔵を改装した放課後等デイサービス。日当たりがよくて、なんだかばあちゃん家にいるみたいな安心感がある。
やっと仕事に慣れてきたころ。今日も、学校帰りのこどもたちが次々とやってくる。
瞬く間に賑やかになる空間に、私も深呼吸して飛び込んだ。
ものづくりをしたり、勉強したり、何もしなかったり。
それぞれが思い思いに過ごす。
私も無理をせず、ただその場にいる。
それが、けっこう心地いい。
2月はイベントづくしだった。節分に、バレンタイン。
毎回驚かされるのは、おやつの時間の自由さだ。
食べるものも、時間も。好きなときに、好きなものを選ぶ。
まだまだこのシステムに慣れないけれど、こどもたちののびのびした様子が気持ち良い。
キッチンの小窓から、「もっとちょうだい!」とおねだりしたり、ちょっとした交渉をしたり。
おやつをめぐるやりとりは、ここでは大切なコミュニケーションの時間だ。
作りたい子とは、一緒に作る。
おそるおそる卵を割る子、勢いよく型を抜く子、そして、ちょろちょろ走り回る子。
目が離せないけれど、それぞれの個性が愛おしい。
焼きあがる甘い香りが部屋いっぱいに広がるころ、「まだ?」「できた?」と、そわそわした声が聞こえる。
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パッと目を輝かせ、キラキラと笑みがこぼれる。
その表情を見るたびに思う。
「あぁ、なんっって幸福な時間なんだろう」
身体の奥から、じんわりと温かいものがこみ上げてくるのを感じる。自分から溢れる笑みも抑えることはできない。
こどもたちの「美味しい!」が染み渡る。
幸せって、こういうことをいうのかも。
普段あまり口を開かない子も、言葉がうまく話せない子も。
美味しいものの前では、みんな平等だ。
想像されるのは、帰省したこどものために、ついたくさんご飯を用意してしまう親の気持ち。
「食べること」は、ただの栄養補給じゃない。
「美味しいね」と笑い合うことで、目に見えない何かが通い合う。
大人になったら、こんなに素直に言い合うことは減ってしまうのかもしれないけれど。
一緒に作る。
一緒に食べる。
言葉がなくても、生まれる空気がある。
「美味しいね」を大事にしたい。
美味しいは、魔法だ。
そして、いちばん身近な幸せの時間。
これからも、たくさんの人と「美味しい」を共有していきたいなぁ。
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このnoteは、🌎3/20の世界幸福デー🌏に向けて、コンパッションを共に学んだ仲間たちと繋ぐアドベントカレンダーに寄せたものです。
テーマは「日常で見つけた幸せ」「あなたと私の幸せ」。
今後のnoteも、のぞいてもらえたら嬉しいです🌱
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