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歌姫の歌声を聴き、歌姫のために作られたデザートを食べてみた。
「ピーチ・メルバ」というデザート。
以前どこかで食べた様に記憶しているのだが、そんな状態なのでどんな味だったのかは覚えていない。
その名の通り、桃を使ったデザートで、桃とバニラ・アイスクリーム、そこにイチゴのソースをかけたものらしい。
以前聴いたCDにピーチ・メルバが登場。その名前の由来となったソプラノ歌手「ネリー・メルバ」の歌声を聞いたからには、再びピーチ・メルバを実食しなければならないと思った。
桃の旬はまさに今。もうすぐ終わる。これを逃すと来年になってしまう。そう思いつつ、そんなにメジャーではないこのデザートは見かけたことがない。以前食べたのもコース料理のうちの一品だったかもしれない。
しかし、食べたいな、と思っていたら引っかかるものである。偶然通りかかった洋菓子屋のショーケースに「ピーチ・メルバ」を発見した。
当然、購入した。
不二家「山形県産もちづき白桃のピーチメルバ」
山形県産もちづき白桃をたっぷりと使用した夏にぴったりの涼やかなデザートです。
ピーチ・メルバの由来もちゃんと由来も掲載されている。
※ピーチメルバとは・・・19世紀後半、人気オペラ歌手のネリー・メルバ嬢のためにサヴォイホテルの料理長が歌劇「ローエングリン」に因んで考案した桃を使ったデザートです。
縦70×横70×高さ70mm 454円(本体価格)、490円(税込)
しかし、ワーグナーの「ローエングリン」には桃は登場しない。
騎士「ローエングリン」が乗ってくるのは、桃太郎のような桃ではなくて、白鳥が曳く小船である。
ちょうどこのデザートを提供された時にネリー・メルバが出演していた演目が「ローエングリン」である、ということが有力な説だろう。
桃とバニラ・アイスクリーム、そこにイチゴのソースをかけたものがネリー・メルバに提供されたものらしいが、今では様々なバリエーションが存在するようである。この不二家のものもバニラ・アイスクリームは入っていない。
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実食。
まず、他のケーキとは明らかに違う重量感に気分が高まる。
白桃が半分も使われている。半円形の白桃はゼラチンでコーティングされピカピカ。
カスタードクリームとスポンジが下でクッションの様に重さを支える。
桃の存在感は強烈で、程よい堅さはフォークが入るのを拒むほどだが、口の中では歯ごたえの隙間からジューシーな果汁が溢れ、甘酸っぱさと香りが鼻に抜ける。
桃とは異なる甘さを感じるカスタードクリームとの変化も楽しめる。
ネリー・メルバの歌声は、どちらかというと飾り気なくストレートな歌声なのだが、この不二家の「山形県産もちづき白桃のピーチメルバ」は、変化球を交えながらも桃の美味しさをストレートに楽しめる夏のデザートだった。