歌姫の歌声を聴き、歌姫のために作られたデザートを食べてみた。
「ピーチ・メルバ」というデザート。
以前どこかで食べた様に記憶しているのだが、そんな状態なのでどんな味だったのかは覚えていない。
その名の通り、桃を使ったデザートで、桃とバニラ・アイスクリーム、そこにイチゴのソースをかけたものらしい。
以前聴いたCDにピーチ・メルバが登場。その名前の由来となったソプラノ歌手「ネリー・メルバ」の歌声を聞いたからには、再びピーチ・メルバを実食しなければならないと思った。
桃の旬はまさに今。もうすぐ終わる。これを逃すと来年になってしまう。そう思いつつ、そんなにメジャーではないこのデザートは見かけたことがない。以前食べたのもコース料理のうちの一品だったかもしれない。
しかし、食べたいな、と思っていたら引っかかるものである。偶然通りかかった洋菓子屋のショーケースに「ピーチ・メルバ」を発見した。
当然、購入した。
不二家「山形県産もちづき白桃のピーチメルバ」
ピーチ・メルバの由来もちゃんと由来も掲載されている。
しかし、ワーグナーの「ローエングリン」には桃は登場しない。
騎士「ローエングリン」が乗ってくるのは、桃太郎のような桃ではなくて、白鳥が曳く小船である。
ちょうどこのデザートを提供された時にネリー・メルバが出演していた演目が「ローエングリン」である、ということが有力な説だろう。
桃とバニラ・アイスクリーム、そこにイチゴのソースをかけたものがネリー・メルバに提供されたものらしいが、今では様々なバリエーションが存在するようである。この不二家のものもバニラ・アイスクリームは入っていない。
実食。
まず、他のケーキとは明らかに違う重量感に気分が高まる。
白桃が半分も使われている。半円形の白桃はゼラチンでコーティングされピカピカ。
カスタードクリームとスポンジが下でクッションの様に重さを支える。
桃の存在感は強烈で、程よい堅さはフォークが入るのを拒むほどだが、口の中では歯ごたえの隙間からジューシーな果汁が溢れ、甘酸っぱさと香りが鼻に抜ける。
桃とは異なる甘さを感じるカスタードクリームとの変化も楽しめる。
ネリー・メルバの歌声は、どちらかというと飾り気なくストレートな歌声なのだが、この不二家の「山形県産もちづき白桃のピーチメルバ」は、変化球を交えながらも桃の美味しさをストレートに楽しめる夏のデザートだった。