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【フリックバルサの船出】ラ・リーガ第1節 バレンシアCF 対 FCバルセロナ マッチレビュー【24/25】

書いてる間にギュンドアンが移籍してしまいました。怖すぎる。1年間ありがとうな。

バルセロナは新監督ハンジ・フリックの初陣。現時点で決定している移籍を整理するとこんな感じになる。

【退団】
イルカイ・ギュンドアン →マンチェスター・シティ
ジョアン・フェリックス →アトレティコ(ローンバック)
ジョアン・カンセロ →シティ(ローンバック)
セルジ・ロベルト →無所属
マルコス・アロンソ →無所属
マルク・ギウ →チェルシー
オリオル・ロメウ →ジローナ(ローン)

【加入】
ダニ・オルモ ←ライプツィヒ
パウ・ビクトル ←ジローナ(昨季バルサBへレンタル)
パブロ・トーレ ←ジローナ(ローンバック)
エリック・ガルシア ←ジローナ(ローンバック)

【昇格】
ラミン・ヤマル
パウ・クバルシ
マルク・カサド

【B登録のまま起用】
マルク・ベルナル 
ジェラール・マルティン
アレックス・バジェ
エクトル・フォルト
セルジ・ドミンゲス

この試合に臨むメンバーについて言えば、新加入のダニ・オルモはサラリーキャップの問題から登録できておらずベンチ外になっている。フェルミンはユーロとオリンピック連勤組なのでまだ合流しておらず、ガビ、フレンキー、アラウホ、アンス・ファティは負傷離脱中。ペドリはユーロでの負傷からギリギリで復活したが、フルタイムの出場はまだ難しい。

ギュンドアンがいないのはこの時点では怪我だと言われていて、ラングレとヴィトール・ロケは戦力外と見なされているようである。


バレンシアはGKママルダシュビリがリヴァプールに引き抜かれそうということでラージョからディミトリエフスキを確保したが、この時点ではひとまず双方ベンチ入りという形になっている。ラファ・ミルはセビージャから借りてきたらしい。

スターティングメンバ―

地味に中盤の人数が足りていないバルセロナはハフィーニャを起用し、左サイドにフェラン・トーレスを配置した。17歳のベルナルと20歳のカサドはプレシーズンに引き続きの登用である。CBにクリステンセンではなくイニゴ・マルティネスを起用したのは序列の問題か、それとも体調が悪かったのか。

バレンシアは身長とポテンシャルのデカさでやってきているラファ・ミルを右サイドで起用しているのが面白いポイント。アトレティコに安売りされそうだったハビ・ゲラは元気にスタメンを張っている。

前半

カサドとベルナルがプレシーズンと左右逆じゃない?ということになるが変更点は別になく、普通にベルナルがピボーテの433をやっていた。カサドが左にいるのはハフィーニャとの兼ね合いで、ここはトップ下枠の人(PSMだとパブロ・トーレ)が左右どっちが好きかに合わせて決めているものと思われる。

SBが大外から動かずに受けるのも相変わらずで、この動きの少ない中でバレンシアの442ブロックをどう抉じ開けましょうというのがひとまず試合のテーマに。SBへの監視は比較的緩めで、そこを狙ってバルデが数回内側から突っ込んで前進した。フェラン・トーレスが大外にいても別にいいことは何もなかったが。

しかしラファ・ミルはすぐに奪うよりも前進を妨害する形でセットするようになり、きっちりと442ブロックに組み込まれていった。そんなことできたんかい。

そこでバルセロナはピボーテのベルナルがCBの間に降り、後ろを3枚にして2トップの脇から前進することに。いわゆる定石というやつ。しかしクンデが右サイドで謎に1枚余ることになり、効果的に前進!というわけにはいかなかった。

強気に左足を振れる選手が揃っている右サイドだが、唯一独力での突破が期待できるヤマルはディエゴ・ロペス、ヘスス・バスケスのスペインあるあるっぽい名前のコンビにしっかり監視されて自由に動けず。平行サポートに来たハフィーニャも狭いところで息ができる選手ではなく、クンデを上手く使って前進するシーンはあまりなかった。

左はWGが絞ってSBが上がるチャビバルサあるあるの形だったが、フェランが得意とするワンタッチで落として反転、一気にラインブレイクという形はあまり見られなかった。これは単純にカサドがピボーテ役になり、距離が遠くなったのが理由。昨季はこういう時に降りてきていたレヴァンドフスキも基本的に我慢してゴール前に留まっていた。

そのため右サイドのハフィーニャやクンデから左大外のバルデに展開する形は作れていたが、そこからコンビネーションで何かするという雰囲気はあまりないままであった。

前進がうまくいかないと当然ボールロストが発生し、カウンターを受ける機会が増えるようになる。被カウンター局面での受け方はチームによって異なるが、フリックの回答は明確。プレッシング一択。バイエルンの時と同じ。

しかし、そのプレスの構造はなかなか見ない形のものだった。おそらくレヴァンドフスキを走らせないためなのだろうが、彼とハフィーニャは中盤の底2人にマンマーク気味に対応することになっていた。

では代わりに走るのは誰か。WGでありSBである。WGは外のSBへの選択肢を消しながらCBを追い詰め、GKに戻して蹴ってくればSBが縦スライドして対応する。スライドが追い付かないなら知らん。がんばれ。

しかしバレンシアは蹴っ飛ばすために格好の的を用意していた。右サイドにいるのはご存じラファ・ミルさん。筋骨隆々の191cmと対峙するのは182cmのイニゴ・マルティネスだったが、階級の差は歴然といった感じで難なく前進されていた。ベルナルは191cmあるが、配置の関係上ここがエアバトルで対決することはほぼ無かった。

そうやって前進された後にWGが戻ってこられるかというとそんなはずはなく、DFラインの4人とボランチ2人で4-2で構えてあとはハフィーニャが頑張って帰ってくる仕組みになっていた。ポケット凸の対応は2ボランチにお任せ。カサドのほうが基本的に前にいるので左サイドを割られると大変なのだが、アンドレ・アルメイダは賢くそこを突いてきていた。

そうこうやっているうちに先制点を取ったのはバレンシア。ウーゴ・ドゥロにドンピシャでクロスを合わされた。ディエゴ・ロペスのボールはめちゃくちゃ良かったが、それにしても綺麗に合わされすぎではなかろうか。ちなみに中ではカサドVSラファ・ミルの20㎝差対決が実現しており、蹴られた時点で割と厳しい雰囲気はあった。

縦長の画像だとなんかデカいな

画面にペペルが写っているにも関わらずマンマーク役のレヴァンドフスキがいないが、これはGKまでプレスに突っ込んだ結果であって決してさぼっていたわけではない。でもGKに突っ込んだら確定で相手のボランチがフリーになるのはヤバすぎるので何とかしてもらいたい。

そして毎回さぼらずにマンマークができているかと言われるとそれはそれで怪しく、ふっと緩めた隙に差し込まれてきっちり前進されたりもしていた。そこは頑張ってくれよ。

その後もうまく行っている雰囲気はなかったバルサだったが、前半AT5分に追いつくことに成功した。何度も擦っていたハフィーニャから左大外へのサイドチェンジが決まり、バレンシアの守備ブロックがスライドする猶予を得たバルデが素晴らしいクロスを供給。ペナルティーエリアの角から逆サイドのゴールエリアの角に届け、そこに大外からWGが入ってくる形は世界共通の止められない形である。

きっちり入ってきたヤマルと虎視眈々とゴール前で牙を研いでいたレヴァンドフスキも素晴らしかったが、ここはバルデの蹴ったクロスの質を褒めてあげたい。見ている場所が明確に昨季と変わっている印象で、長期離脱中にもいろいろ学んで吸収していたことが想像できるいい場面だった。キックレンジも広いし、これは1つ大きな武器が増えたのではなかろうか。


後半

後半はお互い交代はなくスタート。開始早々からバルデのクロスでまたチャンスを作りつつ、47分にPKを獲得してバルセロナが一歩前に出ることに成功した。ハフィーニャの十八番である斜めのランニングにうまくボールを届けたフェラン・トーレスは右足のセットプレーを任されているだけあるねという感じ。よく見えていた、そしてよく届けた。しっかりPKを蹴りこんだレヴァンドフスキも流石。

その後はフェラン・トーレスが抜け出しからのシュートを阻まれたり、イニゴとクバルシがウーゴ・ドゥロ、ラファ・ミル相手にギリギリの対応をしたりしていたが、60分にバルデが負傷交代してしまうことに。打撲のみで大事には至らなかったのは不幸中の幸いだった。

フルキエの背番号は20

代わって入ってきたのはジェラール・マルティン。昨夏コルネジャからバルサBに加入した22歳で、186cmあってそこそこちゃんと走れる。他にも2人交代があり、フェラン・トーレス、クバルシとペドリ、クリステンセンが入れ替わった。イエローカードを貰っていたとはいえ、ここでCBを替えるのは驚き。ペドリが中盤に入り、ハフィーニャが左サイドに回ることになった。

バレンシアもほぼ同時に動き、アルメイダ、ディエゴ・ロペスに代えてダニ・ゴメス、フルキエを投入した。それに伴ってラファ・ミルが左サイドに移動。ダニ・ゴメスはレバンテから借りてきているらしい。

まだフルキエの背番号ミスに気づいていない

この交代に伴ってバルセロナは右サイドからある程度チャンスを作れるように。両インテリオールが中盤の選手になったことで片方がライン間に立って中盤ラインを押し下げ、もう片方がベルナルの脇でボールを受けて前進を助けられるようになった。同時に左サイドに回ったラファ・ミルが変わらず中締めを優先したことで、ヤマルがフリーで仕掛けられる環境が整うこととなった。

バレンシアの保持では右サイドのフルキエも別に内側で何をするでもなく、ラファ・ミルの相手がクリステンセン、クンデのエアバトルそこそこ強い組み合わせになったことで蹴っ飛ばしも効力ダウン。フリックは疲れてきたベルナルに代えてエリック・ガルシアを投入し、保持だけでなく守備強度も大事だという姿勢を明確にしてきた。

そのまま時間が進み、バレンシアは2度目の選手交代。両ワイドに元気な人間を配置し、サイドへの蹴っ飛ばしと浮いているSBを利用した前進の両方で再奪回を頑張る方針を打ち出した。フルキエが一列下がり、ティエリー・コレイアが左SBに回っている。

ここでやっと気づいた

さらにバレンシアはハビ・ゲラに代えて懐かしのギジャモンを投入し、バルサはヤマルに代えて新戦力パウ・ビクトルをデビューさせることに。CFキャラだとばかり思っていたので、わりと正統派WGっぽくサイドに張っていたのは意外だった。

その後は走り回り続けたカサドにご褒美のビッグチャンスが到来したりしたものの、これは決めることができず試合は終了。アウェイチームのバルセロナが勝ち点3を持ち帰る結果となった。


フリックの選択

この試合で明確になったのは、レヴァンドフスキの移動を保持・非保持の両面で制限してできる限り引っ張ること。そしてその分中盤の選手が死ぬほど走る必要があることである。

特に非保持で中盤の底に位置する2人は被カウンター時に真っ先に自陣に戻り、ポケットカバーも行うなどタスクが膨大に。ヤマルをあまり戻らせたくない意図も見えたので、トップ下枠とLWGの選手もかなりの走力が求められるだろう。

あとはレヴァンドフスキがそれに応えて数字を出せるか否か。開幕戦からドブレーテの勢いがどこまで続くかにフリックバルサの命運は割とかかっている。ピチーチ奪還はとりあえずマストでお願いします。


2024/8/18 La Liga Matchday 1
Valencia CF 1-2 FC Barcelona
Mestalla
Referee:José María Sánchez Martínez


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