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読書メーター 2024年10月

10月の読書メーター
読んだ本の数:8
読んだページ数:2494
ナイス数:13

あいまいさに耐える ネガティブ・リテラシーのすすめ (岩波新書 新赤版 2026)感想
遅延報酬的、時間経過に耐える、輿論と言った様々な言い換えを用いて、討論や熟議を経たpublic opinionの形成を促す。これを感情的・即自的な世論との区別を強調している。p200「情報の真偽は単純化しなくても時間の経過によって自ずから明らかになる場合が圧倒的に多い」。「本当に求めるものは吸収し、どうでもいいものは成り行きにまかせる能力」を重視する、個々人が読みも書きもする積極的な態度に期待している。 メディア史や近代史に興味がある人向けというよりは、新書愛好家に向けたような「あいまいさ」がある本。
読了日:10月04日 著者:佐藤 卓己

スピノザ――読む人の肖像 (岩波新書 新赤版)感想
p103「定義は然るべき仕方で形成された時、その対象の本質そのものを描き出す観念となる」。外部からの刺激ではなく、内的要因や本質によって行動すること。総じてスピノザが言うところの能動性を促す。それは未完の『国家論』からも垣間見える。また、(本書5章の)履行されている契約に注目する点など、現状を基準に具体的な思考や行動を重要視する。 p40あたりから面食らうかもしれないが、一見難解だったり迂遠に見える箇所もじっくりと読んでいけば理解できると思う。一度興味をもったのなら最後まで読み進める価値があるはず。
読了日:10月08日 著者:國分 功一郎

What Is Nintendo? (What Was?)感想
多読のために購入。情報の充実のさせ方に偏りはあったが、おかしな内容はいっさいなく、英文も簡単めでちょうどよかった。多読はリライトされたものではなく、英語圏の小さい子向けに書かれたものの方が、構文も多彩で実践的だし、語彙を平易にする工夫自体が、読む上での楽しさを作り出しているのかなと思った。
読了日:10月13日 著者:Gina Shaw,Who HQ

職業としての官僚 (岩波新書 新赤版 1927)感想
官僚にしか行えないこと、官僚制度だからこその利点がみえてこず、役人への偏見を解きたいという意図を超えた官僚への同情的な文言の数々もあいまって、むしろ期待できない気持ちは強まった。生身の人間で制度によってやる気も変わるというのは分かるが、達成感を感じれた事柄の「語り」を見るにミクロな仕事も多く、中盤で理念だけの改革や官僚への基準の押しつけに否定的だった割に、官僚が達成感を感じることの一部はまさに地方や少数派に対してのソレのようだ。おとなしく実感の薄い大きい事項の調整に甘んじて欲しいと思ってしまった。
読了日:10月14日 著者:嶋田 博子

速読速聴・英単語 Opinion1100 ver.2 (速読速聴・英単語シリーズ)感想
単語や意見の型の習得としてはとても良いと思う。ただ、トピック毎に会話-概要-賛成-反対という流れなのだが、賛成-反対の部分が「アメリカ人の平均的な価値観」⇔「良識派の無難な対立意見」という感じで、若干薄い内容になっている文章もあった。core1900はどの文章もぎっちりしていたのでそこは残念。トピック自体は興味深く際どいものもある分、偏った意見は避けたということかもしれない。 Z会の教材に信頼があるか、このシリーズのどれかをこなして気に入っているという人なら買っていい一冊。
読了日:10月16日 著者:松本 茂、Robert L. Gaynor、Gail K. Oura

病の錬金術 化学物質はなぜ毒になりうるのか (ニュートン新書)感想
鉱山や工場、大気や水道などの公衆衛生、そして動物実験と幅広い。論じ方も生理学的な内容だけでなく、鉱山での発掘法と重金属の放散の具合の関係、行政と実践、裁判の模様など多岐に渡る。読み物としても具体例の集合としても読みごたえがある。バイオアッセイではラットとマウスでも結果が変わるとか、癌に関しては特に、遺伝機構も発生原因となっている分、(複雑で長寿な)人間と実験動物とで悪性物質が一致しない場合が多いなど、適切なやり方を選択する判断力の重要性を示唆する。また治療以前の、予防の重要性も。著者は喫煙の害も強調する。
読了日:10月16日 著者:ジョン ワイズナー

東大名誉教授と原文で楽しむ 英文読書術感想
短編を集めたもの。比較的平易。セリフや独白の割合が多いものも。毎日少しずつ取り組めるタイプの本。指示語や代名詞にたくさん触れられたのが良かった。
読了日:10月19日 著者:行方 昭夫

マックス・ヴェーバー――主体的人間の悲喜劇 (岩波新書)感想
社会学というものを知りたくなって、巨人として語られ度々援用されるマックスウェーバーについて読んだ一冊目。伝記的要素が強い内容だが、ドイツ、そしてプロテスタントナショナリストとしての思想が強く描かれ、ウェーバー本人の著書を読んで、具体的な「ウェーバー社会学」に触れていこうと思えなくなってしまった。 カルヴィニズムの影響を大きく見すぎることへの反省の声が当時からあったといった話が興味深く、サピエンス全史などのビッグストーリーの近現代史部分の節々の説明は、やっぱり雑だったんだなと分かった。
読了日:10月21日 著者:今野 元

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