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東京を歩く#9 国道246号線

国道246号線は赤坂、青山、渋谷といった都心の一等地を通り、世田谷や横浜を抜けて静岡県に至る一般道。華やかなエリアをつなぐ道であるため楽曲や小説の舞台となることも多い。今回はこの国道246号線を、起点から渋谷を抜けて三軒茶屋まで歩いてみたい。

2024年12月初旬。今年は秋になっても暖かい日が続いていたが、ようやく冬めいてきた。天気も東京の冬らしく快晴で散歩日和。

国道246号線は単に246(ニーヨンロク)と略されることも多く、都内では青山通りという名前も付いている。愛称があるのはメジャーな通りである証拠だろう。
246の起点は千代田区の三宅坂交差点で、旧江戸城の内堀のすぐそばにある。永田町駅で降りて三宅坂交差点まで行ってみると、近くの街路樹が黄色く色づいている。暖かい日が続いてた今年は紅葉の時期が遅れていたが、ようやく見頃になってきたようだ。

246起点の三宅坂交差点

街路樹の奥に見える石造りの大きな建物は最高裁判所。外からは窓の存在が分かりづらいデザインになっており、それもあって重厚さと威厳が感じられる。ここを設計した建築家の岡田新一は、近くにある警視庁本部庁舎も手掛けているそうだ。

最高裁判所

この辺りには、最高裁判所の他にも憲政記念館国会図書館自民党本部といった国の施設や国政に関わる拠点が集まっている。時間をかけてウロウロしてみたいところだが、土地柄から警察官や警察車両も多く、長居しづらい雰囲気なのでサラっと通り抜けておく。

赤坂見附の交差点を過ぎると、豊川稲荷東京別院がある。稲荷神社だけあって、あちこちに神の使いとされる狐がずらりと並んでいる。本殿近くには大きな2体の狐も鎮座する。

豊川稲荷東京別院の狐

狐に混じってゆるキャラらしきキャラクターの像があるが、調べたところこれは豊川稲荷の総本山がある愛知県豊川市の宣伝部長いなりん。道路に面した塀には「豊川市に来てね〜だリン」と妙な語尾でPRする広告もある。

豊川稲荷の少し先には、道路をまたいで反対側に、羊羹などの和菓子が有名なとらやの赤坂店がある。美術館としても通用するようなオシャレな外観で、中にはカフェやギャラリーが併設されている。

とらや 赤坂店

このあたりは近くに赤坂御所があるため、北側に背の高いビルはない。また、車線の数も片側4車線と多いのでかなり広々としている。

赤坂付近の246

青山一丁目駅まで来ると、交差点脇にはホンダの本社ビル。1階はウェルカムプラザ青山というクルマやバイクのショールームになっている。今日はレーシングゲームのeスポーツイベントがあるようで、その準備をしている様子が外から伺えた。

明治神宮外苑のイチョウ並木が見えてきた。今日のルートを246に設定したのは、ここに立ち寄れるからというのが理由のひとつ。狙い通りちょうど見頃の色づき具合で、天高く伸びた黄色いイチョウが等間隔に並ぶ様子は圧巻。

明治神宮外苑のイチョウ並木

が、しかし、スゴい人である。日本人も観光客らしき外国人もどちらもたくさん集まっている。中には道路に出て写真を撮る人もいて無法地帯になっているところもチラホラ。ルールとマナーは守って楽しみたい。

混雑しすぎなので早々に切り上げて246に戻り、しばらく進んで表参道の交差点に着く。ハイブランドの店舗が並ぶ表参道は、あと何日かすれば夜にイルミネーションも灯り、クリスマスムードと年の瀬ムードが一気に高まることになる。

表参道

青山学院大学のあたりまで来ると正門前には人だかりができており、どうやらキャンパス内でテレビの撮影をしている模様。このあたりはどこだって撮影スポットになる。

渋谷駅にだいぶ近づいてきた。話題のドーナツ店I’m donut?を過ぎると、宮益坂上の交差点。道は2つに分かれ、右に行くと宮益坂だが、246を進む場合は左の金王坂こんのうざかへ行く。

金王坂の坂標

金王坂という名前は平安時代頃に関東で活躍したとされる渋谷金王丸に由来する。渋谷氏一族はこの辺りを拠点としていて、渋谷城も存在していたという。その場所は坂を下り246から少し外れたところで、現在は金王八幡宮こんのうはちまんぐうという神社がある。渋谷という地名はこの渋谷氏に由来するとも言われるが諸説あるようだ。

金王八幡宮

渋谷駅は再開発のまっただ中。このエリアで最も高いビルは渋谷スクランブルスクエアで、2019年に完成したもの。今あるビルは渋谷スクランブルスクエアの中でも東棟という建物で、高層ビルではないが中央棟と西棟も建設予定らしく、まだまだ開発途上のようだ。

金王坂あたりから見た渋谷スクランブルスクエア

昔と全然違う今の渋谷駅は正直ラビリンス。
個人的に一番ピンとこないのは銀座線の場所。昔は渋谷駅でも中心近くのいい場所をキープしていたように思うが、今では乗り換えで銀座線に向かう時など一体自分がどこに向かっているのかよくわからないほど。井の頭線から銀座線への乗り換えなどは連絡通路を進んですぐだったが、今なら改札間の移動だけで最低5分は見ておかないと間に合わない。

井の頭線への連絡通路にある、岡本太郎「明日の神話」

さて、渋谷駅の待ち合わせ場所と言えば忠犬ハチ公の像だが、次いで知られているのはモヤイ像だろう。しかしこのモヤイ像、渋谷の再開発に伴って駅のそばから移設されることとなったそうだ。新しい設置場所は、渋谷駅から西にしばらく行った渋谷フクラスというビルのそば。
このことをニュースで見て知っていたので渋谷フクラスまで来てみたが、なんとまだ移設工事は完了しておらず、「モヤイ像を移設する工事を行っています」という絶対に他では見られない特注の工事案内板で囲まれていた。新しいモヤイ像は拝めなかったが、今しか見れない変わり種の看板を見れたのでまあヨシとしたい。

モヤイ像の移設工事

神泉のあたりを過ぎると246は少しだけ目黒区を通る。この辺りには首都高の大橋ジャンクションがある。運動場くらいのスペースで複雑な分岐を実現するため、かなり急なループを何層にも重ねた独特な構造をしている。

大橋ジャンクション

実はこの大橋ジャンクション、外から見ただけではまったくわからないが屋上部分が目黒天空公園という庭園になっている。ループの上がそっくりそのまま庭園になっているので、なかなかの距離をぐるぐると上っていくことになる。一番上までくれば展望スペースがあって世田谷方面を望むことができ、天気が良ければ富士山も見える。

目黒天空公園から。遠くに富士山が見えている

展望スペースからの景色で一際目立つビルはキャロットタワー。今回のゴールである三軒茶屋はそこにある。かなり遠くにあるように見えたため、果たしてあそこに行けるかなと思ったが、距離としては1kmちょっとくらいで程なくして到着。今日はこれでおしまいとした。

三軒茶屋のキャロットタワー

旅のスタンプ
[訪問:自治体]東京都渋谷区、東京都目黒区

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