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ネットワークの動態と組織のレビュー論文:論文レビュー

こんにちは、原田です。
今回はネットワーク動態に関するレビュー論文です。

ネットワーク動態:
社会的ネットワークにおける関係の形成、変化、消滅といったプロセスを指し、時間の経過とともにネットワークの構造や結びつきがどのように変わるかを研究する概念

今日の論文

Network Dynamics and Organizations: A Review and Research Agenda
ネットワークの動態と組織:レビューと研究課題
Journal of Management, 2022年7月
Hongzhi Chen, Ajay Mehra, Stefano Tasselli, Stephen P. Borgatti

サマリ

  • 組織研究におけるネットワーク動態に関する187本の論文(2007年から2020年にかけて発表)をレビューしている

  • レビューは、ネットワークの変化、関係イベントの発生、共進化の3つの主要なカテゴリに分類して行われている

  • また、レビュー結果に基づき、ネットワーク動態と管理研究におけるパフォーマンス、行動、認知への影響を探るための将来的な研究の方向性が提案されている

方法

  • 2段階のレビューアプローチを採用しており、第1段階では187本の論文を分類し、主要な発見をまとめた

  • 第2段階では、レビューの結果を批判的に反省し、4つのテーマに基づく研究課題を提案している

わかったこと①:
ネットワーク動態の分類フレームワーク

ネットワーク動態研究を分類し、ネットワークの変化、関係イベントの発生、共進化など、異なるタイプのネットワーク動態を示している。

  • ネットワーク動態を3つの主要カテゴリに分類

    • ネットワークの変化: 結びつきの形成や消滅を扱う

      • ダイアディックレベル(個々の結びつきのレベル)

      • ノードレベル(結びつきを持つ個人や組織のレベル)

      • ネットワークレベル(ネットワーク全体の構造のレベル)

    • 関係イベントの発生: メール送信など、時間的に発生する個別の行動や出来事を対象

    • 共進化: ネットワークとその中の個々のアクター属性が時間とともに相互に影響し合うプロセス

  • 各カテゴリの例として、マイクロ(個人間)とマクロ(組織間)それぞれに対応した論文の数が記載されている

わかったこと②:
結びつきの動態とネットワーク構造

下記はネットワーク内の特定の結びつきが変化することで、ネットワーク全体の構造がどのように変わるかを示したもの。

  • ネットワーク内の特定の結びつきの変化を示す図

    • 左の図:ノードAが既存の結びつきを切り、新たにノードFと結びつく

    • 右の図:ノードBが既存の結びつきを切り、ノードCと結びつく

  • 結果として、左と右で結びつきの変化は異なるが、ネットワーク全体の構造は同じ

    • ネットワーク全体の構造的特性が結びつきの変化に依存しない場合があることを示唆

論文から得た学び

ネットワーク動態は、「関係状態」と「関係イベント」の2つに分けて研究されており、ネットワークの変化には、結びつきの形成、変容、消滅が含まれることがわかりました。

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