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仕事の充実度(enriched work)に対する従業員の反応に関する調査:論文レビュー
こんにちは、原田です。
今回は、仕事の充実度(enriched work)に対する従業員の反応に関する調査に関する論文です。
今日の論文
Conditions under which employees respond positively to enriched work
従業員が充実した仕事に対して前向きに反応する条件
Journal of Applied Psychology, 1976年(Vol. 61, No. 4, pp. 395-403)
Greg R. Oldham, J. Richard Hackman, Jone L. Pearce
サマリ
本研究は、仕事の充実度(enriched work)に対する従業員の反応に関する調査
特に、(1) 成長欲求の強さ(growth need strength)と(2) 職場環境への満足度が、その反応をどのように調整するかを検証
銀行で25種類の業務に従事する201名の従業員からデータを収集した結果、成長欲求が強く、職場環境(給与、雇用の安定性、同僚、上司)に満足している従業員は、充実した仕事に対してより前向きな反応を示すことが分かった
この研究結果は、職務設計(work redesign)の実務に示唆を与えるものである
方法
研究対象: 大都市圏の銀行で働く201名の従業員
測定方法:
ジョブ・ダイアグノスティック・サーベイ(JDS)を用いて仕事の特性と満足度を評価
上司による業務評価
給与、勤続年数、業績の記録データを分析
仕事の充実度(Motivating Potential Score: MPS)の指標:
スキルの多様性(Skill Variety)
タスクの一貫性(Task Identity)
タスクの重要性(Task Significance)
自律性(Autonomy)
フィードバック(Feedback)
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わかったこと:
成長欲求が高く、職場環境に満足している従業員
MPS(仕事の充実度)と業務成果の関係が最も強い
高い動機付け、満足度、生産性を示す
成長欲求が低い、または職場環境に不満がある従業員
MPSと業務成果の関係が弱まる
仕事の充実度があまり影響を与えない
成長欲求が低く、かつ職場環境に不満がある従業員
MPSの高さが業務成果にほとんど影響を与えない
場合によっては、充実した仕事が業務パフォーマンスを低下させる可能性がある
成長欲求と職場環境満足度の両方を考慮することで、より適切な職務設計が可能
成長欲求が高く、職場環境に満足している従業員に対しては、仕事の充実が効果的
どちらかの条件が欠ける場合、仕事の充実よりも環境改善の方が優先されるべき
論文から得た学び
仕事の充実度が従業員のパフォーマンスに及ぼす影響は、成長欲求と職場環境の満足度によって左右されることがわかりました。職場環境の満足度と成長欲求の両方を考慮して職務設計を行うことが重要であることが示唆されています。