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目標志向性の役割:論文レビュー

こんにちは、原田です。
今回は、目標志向性が課題遂行における動機づけ及び認知プロセスにどのような影響を及ぼすかについての論文です。

目標志向性は、個人が目標に対して示す傾向を表し、学習志向性(新しいスキルの獲得や能力の向上に焦点を当てる)とパフォーマンス志向性(他者との比較や結果の達成に焦点を当てる)に大別されます。

今日の論文

The Role of Goal Orientation in Explaining the Motivational and Cognitive Processes of Task Performance
目標志向性が課題遂行の動機づけ及び認知プロセスを説明する役割
Journal of Applied Psychology, 1996年
Paul R. VandeWalle, Frederick L. Cron, Jared R. Slocum

サマリ

  • この研究は、目標志向性が課題遂行における動機づけ及び認知プロセスにどのような影響を及ぼすかを解明することを目的としている

  • 特に、学習志向性とパフォーマンス志向性の違いが課題達成行動にどのような変化をもたらすか、またその過程での個人の態度や行動への影響について検討している

方法

  • 実験的デザインを採用し、参加者の目標志向性を事前に測定

  • その後、課題を提示し、遂行結果や中間プロセスにおけるデータを収集

  • 統計分析を用いて因果関係を検証した

わかったこと:
目標志向性(学習志向性およびパフォーマンス志向性)が課題遂行に与える影響を示す構造モデル

  • 学習志向性の影響

    • 学習志向性が高い個人は、挑戦への積極的な取り組みと、自己効力感の向上に関連

    • これにより、より深い情報処理や新しいスキルの習得に向かう傾向が明確化

  • パフォーマンス志向性の影響

    • パフォーマンス志向性が高い個人は、他者との競争意識や、達成結果への注目に関連

    • これにより、効率的ではあるが、より制約的な戦略を取る傾向が示されている

  • 媒介効果

    • 動機づけ(例: 課題への関与意識)および認知戦略(例: 課題遂行方法の選択)が、目標志向性から課題成果への影響を媒介していると説明

  • 課題遂行への最終影響

    • 学習志向性が高い場合、成果の質が向上する傾向が見られた

    • パフォーマンス志向性が高い場合、短期的な効率は向上するが、長期的な成長は抑制される可能性を示唆

  • 統計モデルの適合性

    • 構造モデルは十分な適合度を示し、データが仮説を支持することを確認

論文から得た学び

目標志向性が課題遂行における行動や認知戦略に顕著な影響を及ぼすことを示唆していました。特に、学習志向性は長期的な成長を促進するが、パフォーマンス志向性は短期的な競争を強調する傾向が主張されています。

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